新世界第一バス

新世界第一バス（New World First Bus、NWFB）は、かつて香港に存在したバス会社です。主に路線バスの運営を行っていました。2023年7月には、姉妹会社であるシティバス（城巴）と合併し、その歴史を終えました。

歴史

新世界第一バスのルーツは、1924年に創業した中華バス（China Motor Bus、CMB）に遡ります。中華バスは1933年に香港島のバス路線免許を取得し、九龍半島・新界を管轄する九龍バス（九巴）と共に運行していましたが、サービスの低下が問題視されるようになりました。香港政府は、改善が見られない中華バスに対し、1998年以降の営業路線免許を与えないことを決定。公開入札の結果、イギリスのファーストグループ（FirstGroup plc）が営業権を獲得し、1998年9月1日に中華バスの路線と車両を引き継ぎ、新世界第一バスとして運行を開始しました。

その後、2000年には、シティバスの営業権を持つ香港のNWSホールディングス（新創建集團）に株式が売却され、シティバスとは姉妹会社となりました。さらに2020年には親会社がNWSホールディングスから匯達交通服務（Bravo Transport Holdings Limited）へと変わりました。

シティバスとの合併前、新世界第一バスは約700台のバスを保有し、香港島を中心に、九龍半島や新界でも路線網を広げていました。しかし、2022年7月12日に香港行政会議は、2023年7月に新世界第一バスとシティバスを合併させる方針を発表。その結果、2023年6月30日をもって新世界第一バスは運行を終了し、翌7月1日より両社の合併による新たな「シティバス」が誕生しました。

車両

1998年の営業開始時には、中華バスから引き継いだ502台と、新たに購入した202台のバスで運行を開始しました。当初は、中華バス時代の塗装が残る車両も存在しましたが、順次塗装が変更されました。中華バスから引き継いだ車両には、1974年製の古い車両を含む多数の老朽化した非冷房車が含まれていました。そのため、1999年から大量の新車を購入し、非冷房車の淘汰を進め、2002年8月17日に全車冷房車化を完了しました。また、香港国際空港のエアカーゴターミナル会社からの譲渡車も存在しました。

保有車両は、2階建てバスを中心に、ボルボ（旧レイランド）、ネオプラン、アレクサンダー・デニス（旧デニス）などの欧州製車両が中心でした。中華バス時代に購入された冷房車も一部在籍していました。

香港のネットユーザーの中には、新世界第一バスを「冷房（化されただけの）中華バス」と揶揄する者もいました。これは、中華バスから経営が変わった後も、サービスが抜本的に改善されていないことを批判したものでした。

2021年9月時点では、新世界第一バスは715台のバスを保有していました。

保有車両（2021年9月時点）

ノンステップ2階建てバス：698台
ノンステップ1階建てバス：17台

過去の車両

冷房車
非冷房車（全車中華バスより譲受）

新世界第一バスは、香港のバス事業の歴史において、重要な役割を果たした会社の一つです。その歴史は、香港のバス事業の変遷を語る上で、欠かせないものとなっています。

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