新丸ノ内ビルヂング

新丸ノ内ビルヂングは、東京都千代田区丸の内一丁目に位置していた、かつての8階建ての商業ビルです。このビルは、三菱地所が手がけた丸ノ内ビルヂングの向かい側、行幸通りを挟んだ場所に建設されました。建設の歴史は複雑で、着工から竣工までには様々な出来事がありました。

着工と中断、そして戦後の再開

1937年（昭和12年）6月28日、この地には「東京館」という名称でビルの建設が開始されました。しかし、基礎工事が完了した1938年（昭和13年）12月、日中戦争の影響による臨時資金調整法や鉄鋼工作物築造許可規則の施行により、工事は自主的に中断されました。工事が中断された状態では、地面が約12メートルも掘り下げられたまま放置され、周囲の建物に影響を及ぼす可能性がありました。そのため、大蔵省は三菱地所に対して地下部分のみの工事を許可し、完成した部分は第二次世界大戦中は防火用貯水池として、戦後間もなくはプールや復興用資材の貯木場として利用されました。

1950年代に入ると、朝鮮戦争特需によりオフィスビルの需要が急増しました。その結果、三菱地所は当ビルの建設を再開することを決定し、1951年（昭和26年）3月に工事が再開されました。そして、1952年（昭和27年）11月18日に新丸ノ内ビルヂングは竣工を迎えました。建設費に関しては、テナントから建築費総額の約75%を借入するという方法がとられました。また、建築資材については、東日本重工業（現・三菱重工業）が造船名目で調達し、セメントは磐城セメント（現・住友大阪セメント）のものが使用されました。

ビルの構造と特徴

竣工した建物は、地上8階、地下2階（一部地下1階）の構造でした。当初は内部にテナント向けのホールがありましたが、後に貸会議室へと変更されました。丸ノ内ビルヂングと同様に、低層階はショッピングモールとして一般に開放されており、多くの人々が訪れました。

再開発と解体、そして新たなビルへ

1995年、三菱地所は建築基準法および都市計画法の特定容積率適用区域を活用し、東京駅丸ノ内口駅舎の未利用容積率を移転させることで、当ビルの高層化を行うことを発表しました。これに伴い、新丸ノ内ビルヂングは2004年（平成16年）に解体されました。跡地には、2007年（平成19年）4月19日に新丸の内ビルディングが竣工しました。

解体時に取り外された窓ガラスは、手吹きガラスに近い質感を持っていたため、三菱一号館の窓ガラスとして再利用されました。この窓ガラスの再利用は、過去の建築物を尊重し、その一部を新たな建築物へと継承する試みとして注目されました。

江戸時代の歴史

ちなみに、この場所は江戸時代には備後福山藩阿部家の屋敷があった場所としても知られています。

このように、新丸ノ内ビルヂングは、その歴史の中で様々な変遷を遂げ、東京の街の発展とともに歩んできた建物でした。解体されてしまいましたが、その一部は形を変えて今も存在し続けています。

参考文献:
ニュースリリース　「新丸ノ内ビルヂング建替計画について」　三菱地所、2003年（平成15年）12月8日。
三菱地所株式会社社史編纂室編 『丸の内百年のあゆみ』上巻、下巻、資料・年表・索引 三菱地所、1993年（平成5年）

関連項目:
* 丸ノ内ビルヂング

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