新井朝雄

新井朝雄：日本の数理物理学を牽引する研究者

新井朝雄氏は、北海道大学大学院理学研究院数学部門教授として活躍する、日本を代表する数学者・数理物理学者です。その専門は数理物理学と関数解析学に及び、特に荷電粒子と電磁場の系のスペクトル解析において先駆的な研究成果を挙げてきました。

輝かしい経歴

新井氏の経歴は、卓越した学力と研究への情熱を物語っています。千葉大学理学部物理学科卒業後、東京大学大学院理学研究科修士課程を修了。その後、東京大学大学院博士課程に進学するも中退し、東京工業大学理学部数学科助手としてキャリアをスタートさせました。

1986年には北海道大学理学部数学科講師に就任し、助教授を経て、1995年には北海道大学大学院理学研究科数学専攻教授に昇進。その間、1994年にはフランスのストラスブール大学高等数学研究所招聘教授として活躍するなど、国際的な舞台でもその才能を遺憾なく発揮しています。さらに、1998年にはミュンヘン工科大学客員教授として研究活動を行いました。

研究内容と業績

新井氏の研究は、数理物理学、特に量子力学の数学的基礎付けに焦点を当てています。中でも、荷電粒子と電磁場の系のスペクトル解析に関する研究は高く評価されており、この分野における重要な貢献として広く認識されています。

氏は、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)総会に代表として出席するなど、国際的な学術活動にも積極的に関わっています。その活動は、日本の数理物理学界の国際的な地位向上に大きく寄与しています。

多岐にわたる著作活動

新井氏は、研究活動に加え、数多くの著書や論文を発表することで、日本の数理物理学の発展に貢献してきました。その著作は、専門性の高い研究論文から、学部生向けの入門書まで幅広く、日本の数理物理学教育にも大きな影響を与えています。代表的な著書として以下が挙げられます。

『場の量子論と統計力学』（共著）
『量子力学の数学的構造 Ⅰ』（共著）
『対称性の数理』
『ヒルベルト空間と量子力学』
『場の量子論の数学的方法入門』
『数理物理への誘い2』（共著）
『大学でどのような数学を学ぶのか』
『物理現象の数学的諸原理 現代数理物理学入門』
『だれが量子場をみたか』
『現代物理数学ハンドブック』
* 『量子現象の数理』

これらの著書は、数理物理学を学ぶ学生や研究者にとって、貴重な教科書や参考書として活用されています。

日本の数理物理学への貢献

新井朝雄氏の研究活動と教育活動は、日本の数理物理学の発展に大きく貢献してきました。その先駆的な研究、分かりやすい解説、そして国際的な活動は、多くの後進の研究者たちに刺激と影響を与え続けています。氏の功績は、日本の数理物理学界における重要な柱の一つと言えるでしょう。今後も、日本の数理物理学をリードする存在として、さらなる活躍が期待されます。

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