新仁義なき戦い 組長の首

新仁義なき戦い 組長の首

『新仁義なき戦い 組長の首』は1975年に公開された日本の映画で、深作欣二監督および菅原文太を主演とした東映の作品です。この映画は『新仁義なき戦いシリーズ』の第二作目であり、当時演技派俳優の山﨑努との共演が実現したことでも注目を集めました。

概要

映画の舞台は1968年から1975年にかけての北九州市で、特に関門海峡エリアのヤクザの二大組織間の抗争を中心にストーリーが展開されます。冒頭で明記されている通り、「物語はすべてフィクション」という注意書きがあり、モデルとなる実在の事件や人物は存在しません。この映画は実録映画としてではなく、フィクションをベースにしたアクションドラマとして製作されています。

監督の深作欣二は、制作側からアクション映画のスタイルを求められたため、ストーリーの展開においては実録性よりもエンターテインメント性を重視しました。菅原は実録映画に否定的な意義を示していたため、本作ではフィクションとして新たな展開を試みています。

ストーリー

物語は1968年6月、門司港にて始まります。旅人の黒田修次（菅原文太）は大和田組の幹部である友人・楠鉄弥の命令で、敵対する組織の会長・正木巌を銃撃し、結果的に服役を余儀なくされます。7年半の刑期を終えた黒田は外に出るものの、楠は薬物に溺れて大和田組から破門され、廃人同然となっていました。物語では、黒田がどのようにして組織内のシステムや価値観と向き合い、敵対組織との戦いを繰り広げるのかが描かれ、彼の成長や葛藤が中心テーマとなっています。

キャスト

映画には多数のキャストが出演しており、特に菅原文太は黒田役で物語を引っ張ります。他にも志村勝男役の小林稔侍や、楠鉄弥役の山﨑努など、ヤクザ組織の描写をリアルに表現する俳優陣が揃っています。大和田組の組長役には西村晃が起用され、ヤクザ映画特有の緊張感を引き立てる存在感を示しました。

制作背景

映画の企画は東映社長の岡田茂が指揮し、本作に初めての試みとしてアクションとエンターテインメントが強調されました。高田宏治が脚本を担当し、舞台設定が福岡県に変更された結果、全体的に新しい内容となった点も注目です。また、深作監督は今回の制作を通じて従来のヤクザ映画の枠を超え、新たなストーリーの形を模索しました。

興行成績

『新仁義なき戦い 組長の首』は全国公開され、配収で3億1,160万円を計上し、東映にとっては重要なヒット作となりました。上半期の不調から一転し、下半期以降も続くヒットを受け、岡田社長の指揮下でさらに勢いを増すこととなります。

影響

本作の成功は、後の日本映画におけるアクション映画の制作スタイルや物語形成に影響を与えました。このような映画が生まれた背景には、東映が目指していた新たな方向性があったことが分かります。特に、実録路線から脱却し、観客に楽しさと驚きを提供することに尽力した作品として位置づけられています。

まとめ

『新仁義なき戦い 組長の首』は、単なるヤクザ映画に留まらず、独自のスタイルで観客に訴えかける力を持った作品です。そのストーリーやキャラクター、さらには制作過程での試みは、後の作品にも多大な影響を与えました。菅原文太と深作欣二が生み出したこの映画は、今でも日本映画界における重要な一歩とされています。

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