新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故

新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故

新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故は、2016年4月22日に発生した工事現場での重大な事故です。この事故では、建設中の橋の桁が落下し、10名の作業員が死傷しました。このような橋桁落下の事例は日本国内でも以前から発生しており、過去には広島新交通システムの事故や北海道の橋桁落下事故などがあります。

事故の詳細

事故は、2016年4月22日16時27分頃に神戸市北区道場町平田の新名神高速道路の有馬川橋で発生しました。橋桁の落下は、長さ約124m、重量約1350トンの鋼鉄製桁が西側から約15m下の国道176号に落下したものです。作業員の証言によると、落下前に「バチン」という音が聞こえ、その後すぐに崩れ始めたとのことです。監視カメラには、橋桁が一度揺れた後に数回弾んで落下する様子が捉えられています。

事故発生時、現場周辺では約10台の車両が国道176号を通過していましたが、幸いにも事故に巻き込まれることはありませんでした。事故の原因は、橋桁の架設で使用されていた「送り出し架設工法」にあるとされています。発生時には、落下した橋桁が仮置きされていた状態で、南側の2基のジャッキが崩落に巻き込まれました。

交通規制と実施された措置

この事故により、国道176号は通行止めとなり、影響を受けた区間では日下部交差点から天上橋交差点までの2kmが閉鎖されました。迂回路として兵庫県道15号神戸三田線が指定され、通行料金の免除措置も取られるなど、事業者側は迅速な対応を行いました。

事故後の対応

NEXCO西日本は、事故発生後に新名神高速道路の全工事を中止し、事故対策本部を立ち上げました。また、技術検討委員会を設置し、事故原因の調査や再発防止策などを検討しました。22日の事故当日は、事故を担当していた横河ブリッジの工場や、下請け業者の汐義建設工事に対する家宅捜索も行われました。

その後、兵庫県内の大きな橋の工事現場での緊急立ち入り調査が行われ、事故原因の究明が進められました。落下した橋桁の撤去作業は5月3日から始まり、約2ヶ月を要して完了しました。国道176号の開通は、事故から約2ヶ月半後の7月9日に行われました。

事故の影響

NEXCO西日本は、事故の影響で新名神高速道路の高槻 - 神戸間の開通時期を当初の予定から延期することを発表しました。工事は従来の「吊り下げ方式」から「サンドル方式」へと見直され、8月5日には工事が再開されました。その後、2017年と2018年には高槻JCT/IC - 川西IC間、川西IC - 神戸JCT間がそれぞれ開通しました。

この事故は、建設現場での安全管理がいかに重要であるかを再認識させる出来事であり、業界全体での点検や作業方法の見直しが求められるきっかけとなりました。

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