新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議

新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議

新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議は、2022年4月28日に設置が発表され、5月11日から6月15日までの間に新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣の指導のもとで開催されました。この会議の主な目的は、感染症司令塔機能の強化や、新型インフルエンザ特措法に基づく対応、ワクチンや治療薬の生産・確保体制、中長期的な課題の検証などです。会議の座長には循環器内科医の永井良三が選ばれました。

しかし、会議の進行についてはいくつかの懸念が表明されました。例えば、尾身茂が新型コロナウイルス感染症対策分科会長としてヒアリングを受けたのはわずか7分であり、元総理大臣たちへのヒアリングが行われなかった点が問題視されました。さらに、1ヶ月という短期間で報告書がまとめられたため、十分な検証が行われたとは言い難いという意見が相次ぎました。

報告書は2022年6月15日に永井座長から提出され、岸田文雄総理大臣は直後の17日にこの報告をもとに内閣官房に「内閣感染症危機管理庁」を設置することを決定。また、厚生労働省内に「感染症対策部」を新設し、「国立感染症研究所」と「国立国際医療研究センター」を統合して日本版のCDCを設立することが決まりました。

これによって新たな組織が設立されることになりましたが、その必要性や設計過程には不透明な点が多いとされています。中央大学の野村修也教授は、これら新組織の設置が政府の対応に対して有効な検証を行わなかったと非難しています。公表された報告書が政府の制度改正に対してお墨付きを与えるような内容であるとして、その価値を疑問視したコメントが報じられました。

また、東京大学名誉教授の山田章雄は、制度改革の必要性があったとしても、過去の問題点を背後に振り返り、それを解決するための具体的な手段を提示せぬままでは混乱を招くと警告しています。国会においても、多くの議員が今回のプロセスにおける検証の不十分さや人選の不透明性を指摘し、具体的な対策を求める声が上がりました。

その後、各界からの意見も多く寄せられました。2023年2月に行われた感染症部会では、専門家らが会議の結果に対する疑問や不安を表明しました。特に、尾身茂が検証活動がほとんど行われていないと示唆する発言があり、報告書には事実誤認が含まれていることも言及されました。これに対し、永井良三座長は会議の必要性を訴え、メディアの誤解に対して反論を展開しました。

結局、新型コロナウイルスに関する様々な意見は依然として分かれており、科学的検証の重要性が改めて確認されています。内閣感染症危機管理統括庁や国立健康危機管理研究機構などの新組織の役割が今後どのように展開していくのか、またどれほど効果的なものになるのか、多くの人々が注目しています。

参考資料

• - 内閣官房 新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議
• - 関連項目

- 内閣官房
- コロナウイルス感染症の流行に対する日本の行政の対応

もう一度検索