新垣世璋

新垣 世璋（あらかき せいしょう）

新垣世璋は、1840年に沖縄の那覇市で生まれました。彼は、唐手（現在の空手）の先駆者として広く知られており、特に那覇手の流派の重要な人物とされています。新垣には「猫（マヤー）・新垣」という愛称もあり、位階は親雲上でしたので、正式には新垣親雲上世璋と呼ばれています。彼の家系は久米村出身ではありませんが、彼は子供の頃から久米村に通っており、そこで多くの友人を作りました。

経歴

新垣は、幼少期から唐手に興味を持ち、鄭氏屋部親雲上（元の外間）に師事しながらその技を磨いていきました。1867年には、王家別邸で行われた祝賀会において、その腕前を披露する機会があり、当時の名手の一人として名を馳せるようになりました。この際、十三歩やちしやうきん、交手など多様な演武を行い、さらにはウンスーの演武も行ったとの記録があります。また、当年同じ時期に新垣が尚泰王の進貢使として北京に赴いたとも言われています。

新垣の活躍の後、廃藩置県が行われたため、その後の生活はあまり知られていませんが、彼の存在は沖縄武道界において影響を及ぼしました。弟子に関する情報は限られているものの、富村筑登之親雲上や東恩納寛量が彼に師事したという説があります。

新垣派の型

新垣派に伝わる型としては、ニーセーシ（二十四歩）、ウンスー（雲手）、ソーチン（壮鎮）などがあります。これらの型は後に本土の摩文仁賢和が率いる糸東流などに引き継がれ、今でも多くの武道家に練習されています。特に沖縄においては、宮城長順の弟子である喜納正興が新垣の教えを受けていたことを語っており、首里手も学ぶように勧められていたことが伝わっています。

近年になってからの研究によると、ニーセーシは国吉真吉から中村茂に伝わったことが確認され、またチソウチンは国吉から中村平三郎に受け継がれたこともわかっています。さらには、チソウチンは中村平三郎の動画を通して糸東流のソウチンとほぼ同じ手順を持つことが明らかになりました。これらの型は国吉真吉から伝承されているものですが、国吉自身が唐手を学んだのは崎山喜徳からだとも言われ、新垣とのつながりの詳細は不明な部分も多いです。

結論

新垣世璋は、唐手（空手）の発展において欠かせない存在であり、彼の型や教えは今も多くの武道家に受け継がれています。その技術と精神は、沖縄の武道だけでなく、広く日本の格闘技の文化にも影響を与え、現在に至るまで多くの武道愛好者にとって重要な指針となっています。

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