新城常三

新城常三（しんじょう つねぞう）は、1911年4月21日に福島県若松市で生まれ、1996年8月6日に亡くなった日本の歴史学者です。彼の専門は、日本中世の交通史であり、その分野で多くの重要な業績を残しました。

学歴と職歴

新城は1933年に水戸高等学校を卒業し、1936年には東京帝国大学国史学科を卒業しました。大学の同期には奥田眞啓などがいます。卒業後は、東京帝国大学史料編纂所の所員となり、その後、1949年に北海道大学助教授に就任。後に同大学の教授となりました。1959年には九州大学教授に移り、1976年に定年退職。その後、成城大学教授を1982年まで務めました。

研究活動

1961年、新城は「社寺参詣の社会経済史的研究」で東京大学から文学博士の学位を授与されました。この研究は、中世の社寺参詣が社会経済に与えた影響を詳細に分析したもので、彼の代表的な業績の一つです。1983年には、この研究をまとめた『新稿社寺参詣の社会経済史的研究』で角川源義賞を受賞しています。彼の研究は、単なる歴史的事実の羅列ではなく、社会経済的な視点から歴史を読み解くという点で、高く評価されています。没後には、その功績を称えられ、従四位勲四等旭日小綬章が贈られました。

著書

新城は、数多くの著書を執筆しており、その多くが現在でも研究者や学生にとって重要な資料となっています。主な著書には以下のようなものがあります。

『戦国時代の交通』（1943年）：戦国時代の交通網や物流について詳述しています。
『ぼくらの交通』（1949年）：一般向けに交通の歴史を解説した書。
『社寺と交通 熊野詣でと伊勢参り』（1960年）：社寺参詣と交通の関係を具体的に考察した著作。
『社寺参詣の社会経済史的研究』（1964年）と『新稿社寺参詣の社会経済史的研究』（1982年）：博士論文をまとめた書籍で、中世の社寺参詣が社会や経済に与えた影響を詳細に分析しています。
『鎌倉時代の交通』（1967年）：鎌倉時代の交通システムや物流を研究した著作。
『庶民と旅の歴史』（1971年）：庶民の旅の歴史を社会的な側面から考察した著作。
* 『中世水運史の研究』（1994年）：中世日本の水運について詳細に研究した著作。

新城常三の研究は、日本中世史における交通史研究の基礎を築いただけでなく、社会経済史の分野にも大きな影響を与えました。彼の業績は、歴史学研究において今後も重要な足跡として語り継がれるでしょう。

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