新字形

新字形は、中華人民共和国における漢字の印刷標準字体（明朝体）を指します。ここでいう「字形」は、日本語における「字体」に相当する概念です。新字形は、従来の康熙字典体（旧字形）に対する用語であり、より筆記体に近い字形を採用し、同時に異体字の関係を整理することを目的としています。この結果、画数が減少した漢字も存在するため、「簡体字」と混同されることがありますが、両者は異なる概念です。新字形は簡体字だけでなく、繁体字にも適用される字体体系であるという点が重要な特徴です。

新字形は、1965年に発表された『印刷通用漢字字形表』（6196字）によって最初に規定され、その後1988年に出版された『現代漢語通用字表』（7000字）によって改訂されました。この改訂では、画数を大幅に減らし、字形を大きく変更する漢字も含まれています。そのため、繁体字の出版物では、必ずしも新字形に準拠せず、独自の基準で印刷字体が設けられることがあります。この状況は、日本における表外漢字の字体問題と類似しています。

新旧字形の主な違い

新字形と旧字形の間には、以下のような差異が見られます。括弧内の数字は、それぞれの画数を表しています。

「靑」(8)　→　「青」(8)
「爲」(12)　→　「為」(9)
「頻」(16)　→　「頻」(16)
「吳」(7)　→　「吴」(7)
* 「步」(7)　→　「歩」(7)


また、コンピュータ環境によっては表示が困難な場合もありますが、康熙字典体においては、「艹」（4画）、「垂」（9画）、「異」（12画）、「莽」（12画）、「華」（12画）などの字に含まれる「卄」は、字源に基づき2つの十字として表現されます。しかし、新字形では、日本における字体と同様に、これを1本の線でつなげ、3画として扱う字体が採用されています。

このように、新字形は字体の統一と効率化を目指したものであり、中国における漢字の印刷において重要な役割を果たしています。しかし、その適用範囲や字形の違いは、出版物や地域によって異なる場合があり、注意が必要です。

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