新川川 (宮城県)

新川川：仙台の自然と歴史を織りなす清流

新川川は、宮城県仙台市青葉区を流れる名取川水系広瀬川支流の一級河川です。古くは「新川」と呼ばれ、現在でもその名称で親しまれています。全長は4.69キロメートル（一級河川管理区間）ですが、源流部まで含めると10キロメートル以上に及びます。

地理：奥羽山脈から広瀬川へ

新川川の源流は、仙台市太白区北部の奥羽山脈面白山にあります。山々から流れ出る渓流が合流し、北沢川と南沢川となり、東に向かって流れ下ります。北沢川が南沢川と合流した地点から新川川と名付けられ、南東方向に蛇行しながら流路を刻み、宮の沢川と合流した後、広瀬川へと注ぎ込みます。

青葉区内では、右岸が新川地区、左岸が作並地区、合流点付近の左岸がニッカ地区と呼ばれています。上流から新川地区の段丘部までは渓谷美を誇り、仙山線が川沿いに通っています。かつては八ツ森駅、奥新川駅といった駅も存在していました。新川地区は上流部が畑作地帯で、下流部には水田が広がっています。

特筆すべきは、広瀬川との合流点近くに位置するニッカウヰスキー宮城峡蒸留所です。同蒸留所は新川川の水をウイスキー製造に使用しており、創業者の竹鶴政孝氏が新川川とニッカの名前の類似性に驚いたという逸話も残っています。ニッカ地区は、同蒸留所の建設に合わせて作並地区から分割された地域であり、現在では蒸留所のみが所在しています。

自然：豊かな生態系とハイキングコース

新川川にはヤマメやイワナが生息しています。イワナは昭和初期に放流されたものが繁殖したとされています。上流部には、かつて日本国有鉄道によって整備されたハイキングコース「新川ライン」と「奥新川ライン」が存在します。新川ラインは奥新川駅と旧八ツ森駅を、奥新川ラインは奥新川駅から南沢川沿いに上流へと伸びています。現在では仙台市がこれらのコースを管理しています。

2011年度の調査では、山田橋下流における生物化学的酸素要求量（BOD）75%値が0.5mg/Lと良好な水質を示しています。

支流と橋梁

新川川には北沢川、南沢川、宮の沢川といった支流が流れ込みます。また、新川川橋梁（仙山線のトレッスル橋）、清瀬橋、山田橋、新川滝倉橋（ニッカウヰスキー工場内）など複数の橋が架かっています。

歴史と文化：地域に根付く清流

新川川は、地域の生活や歴史と深く関わってきた河川です。水源地としての役割、交通路としての役割、そして豊かな自然環境を提供するなど、多様な側面を有しています。ニッカウヰスキーとの関わりも、新川川の歴史と文化を語る上で重要な要素となっています。今後も、地域住民の生活と自然環境の調和を保ちながら、その存在感を保ち続けることが期待されます。

もう一度検索