新川桜並木

新川さくら並木

新川さくら並木は、札幌市北区と手稲区を流れる琴似川・新川沿い、および新川通に沿って続く、全長10.5kmの桜並木です。北海道最長の桜並木であり、地域住民の長年の夢と努力によって誕生しました。

概要

新川は、札幌の都心部から石狩湾へと続く全長12.5kmの人工河川で、かつては低湿地だった地域を排水し、水運を確保する目的で開削されました。新川さくら並木は、この新川の右岸に位置し、その直線的な形状から、日本一長い直線状の桜並木としても知られています。

並木道は散策路として整備されており、春には桜を愛でながらのウォーキングやランニングを楽しむ人々で賑わいます。また、新川の左岸側には八軒中央地区桜並木も存在し、合わせて美しい景観を作り出しています。

北区内の桜並木

北区区間の7.5kmは、新川連合町内会が中心となり、1998年から2000年の3年間にかけて植樹事業が行われました。当初は5年計画でしたが、住民の熱意と多くの寄付により、3年で完了しました。755本の桜（エゾヤマザクラ、ソメイヨシノ）が植えられ、そのうち373本は、寒さに強いエゾヤマザクラの若木を十勝の池田町から取り寄せました。

歴史

1970年代から、「特色の少ない新川地区に、住民が誇れる桜並木を」という構想が住民の間で語られるようになりました。一度は河川への植樹が禁止されていたため、住民が植えた苗木が撤去されるという苦い経験もしました。しかし、1997年に地元企業からの苗木寄贈の申し出をきっかけに、河川法の規制緩和を活用した桜並木造成事業が具体的に動き出しました。

事業の実施にあたっては、北海道や札幌市との協議を重ね、住民の負担も少なくありませんでした。1998年4月には第一期植樹祭が開催され、以降、住民の参加と協力のもと、植樹が進められました。

関連イベント

毎年5月には、桜並木の完成を祝う「新川さくらフェスティバル」が開催されます。合唱祭や清掃活動、ウォーキング大会などが行われ、地域住民の交流の場となっています。

受賞

長年の緑化活動が評価され、新川地区緑化推進協議会は、数々の賞を受賞しています。

2000年：みどりの環境づくり優勝団体（北海道知事表彰）
2001年：「みどりの愛護」功労者（国土交通大臣表彰）
2007年：さくら功労者（日本桜の会表彰）
2018年：手づくり郷土賞「新川夢の桜並木事業　～先人達の夢を実現～」

手稲区内の桜並木

手稲区内の3kmの区間では、1990年からエゾヤマザクラの植樹が行われました。しかし、海に近い環境のため桜が枯れやすく、2008年には北海道工業大学の学生による植樹実験が行われました。2010年には札幌西ライオンズクラブがエゾヤマザクラを寄贈し、植樹を行っています。現在も、地域住民や団体によって、桜の生育状況の確認や清掃活動が続けられています。

新川さくら並木は、地域住民の熱意と努力、そして行政や企業の協力によって実現した、まさに「夢の桜並木」です。春には満開の桜が咲き誇り、訪れる人々の心を癒やしてくれます。

参考文献

佐々木信恵 (2023年4月21日). “さっぽろ今昔物語：新川桜並木 今も咲き誇る先人の夢”. 北海道新聞: さっぽろ10区 第622号 1面

関連項目

北海道マラソン - コースの一部に桜並木が含まれています。

外部リンク

* エピソード・北区「35.地域住民の長年の夢、ついにかなう-新川さくら並木」（札幌市北区役所ホームページ）

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