新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法

新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法

新幹線鉄道の安全な列車運行を確保する目的で制定された「新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法」は、昭和39年に施行された法律で、一般的には「新幹線特例法」として知られています。この法律は、鉄道営業法の特例を設け、特に新幹線の運行に関連する妨害行為に対して厳しい罰則を規定しています。

法律の背景と施行

新幹線は、その主要区間において200 km/h以上の速度で運行されるため、特に安全性が求められます。法律制定当初は「東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法」として、当初は東海道新幹線のみを対象としていました。しかし、1970年に全国新幹線鉄道整備法が制定されたことに伴い、各地の新幹線にも適用されるように改正が行われました。この法律は、鉄道営業法に該当する行為が新幹線に対して行われた場合に適用され、処罰がより厳しくなることが特徴です。

法律の主な内容

この法律は、以下のような規定から構成されています：

1. 趣旨（第1条）
法の目的を述べています。
2. 運行保安設備の損壊等の罪（第2条）
新幹線の自動列車制御装置（ATC）や列車集中制御装置（COMTRAC、COSMOSなど）を損壊・操作する行為は禁止されており、違反した場合は最大5年の懲役または5万円以下の罰金が科されます。
3. 線路上に物件を置く等の罪（第3条）
新幹線の線路上に物件を放置したり、線路内に立ち入る行為も禁止され、違反には1年以下の懲役または5万円以下の罰金が適用されます。
4. 列車に物件を投げる等の罪（第4条）
新幹線列車に物件を投げたり発射する行為は禁止され、5万円以下の罰金が科されます。

適用区間

この法律は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、営業中の新幹線鉄道に適用されます。特に、東京都と大阪府を結ぶ東海道新幹線がその代表例です。また、法律施行の際に建設中であった大阪市と福岡市を結ぶ新幹線鉄道も対象となります。ただし、山形新幹線や秋田新幹線は法的には新幹線として認められていないため、この法律の適用外となります。

実際の事例

1972年5月17日、東海道新幹線の「ひかり68号」が静岡県富士市でパンタグラフの故障により停車し、多数の乗客が長時間缶詰め状態となりました。食料を電車に届ける試みがされましたが、線路内に入ることが特例法に抵触する可能性があるため、断念せざるを得ませんでした。最終的に6時間後、救援電車により乗客は救助されました。こうした事例からも、新幹線運行の安全を確保するためのこの法律の重要性が浮き彫りになります。

このように新幹線特例法は、新幹線の運行を守るために不可欠な法律であり、公共交通の安全を確保するために重要な役割を果たしています。

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