新幹線951形電車

新幹線951形電車の概要

新幹線951形電車は、1972年3月の山陽新幹線岡山駅延伸に伴い、当時の営業走行最高速を超えるために開発された2両編成の試験車両です。日本国有鉄道（国鉄）が1969年に試作を開始し、革新技術の宝庫として位置づけられています。951形は、特に250 km/hの運転を可能とするための新型車両として、様々な先進的な設計や技術が採用されています。

車体と設計

この新幹線951形は、0系の設計を基にしながらも、多くの部分が新たに設計されています。全長25 m、全幅3,386 mm、全高4,490 mmの寸法を持ち、軽量化のために初めてアルミ合金構体が用いられました。また、ボディーマウント方式により、車体剛性の向上も図られています。

先頭部の流線型設計は空気抵抗の低減を目的としており、0系から約2 m延長されています。新開発の気密構造により、長大トンネルを通過する際の気圧変動対策も施されており、換気装置の搭載が特徴です。車両の天井には従来の冷房装置が屋根から床下に移動されています。この配置により重心が下がり、安定性が増しています。

設備と機器

951形電車には、先進的な技術を取り入れた主要機器が搭載されています。主変圧器や電動機、ブレーキ装置などは複数のメーカーから供給され、特に三菱電機や東京芝浦電気、日立製作所が重要な役割を果たしています。新幹線初のサイリスタによる連続位相制御方式が用いられ、これは力行と発電ブレーキの両方で連続的な制御を可能にします。これにより、従来の操作方式と比べて運転の精度が向上しています。

主電動機は出力が243 kWに増強され、WNドライブが採用されています。これにより、高速走行のための性能が一段と向上しました。また、台車の設計にも改良が施されており、振動の軽減を図った中空軸構造が採用されています。

ブレーキシステム

951-1では、発電ブレーキの安定性を高めるためにチョッパ制御器や渦電流式レールブレーキが導入されています。このブレーキシステムは、高速運転時に強力な制動力を発揮します。摩擦ブレーキでは、電気指令による油圧変換方式を採用し、効率よく制動力を発生させる設計になっています。

自動運転システム

951形では、自動運転に向けた実験としてATOMIC（Automatic Train Operation by Mini Computer）というミニコンピュータシステムが導入されました。このシステムは、定時運転制御、定速運転制御、定位置停止制御を一元管理することが可能であり、将来の新幹線運行の効率化に寄与することを目指しています。運転士は運行前にプログラムカードをセットし、自動的に運転ダイヤが出力されます。実際に951形で行われた自動運転の試験でも良好な結果が得られました。

運用の歴史

951-1は1969年に完成し、正式な試運転は1972年に行われました。その後、285 km/hという速度記録を達成し、新幹線技術のさらなる発展に寄与しました。しかし961形導入の影響もあり、951形の運用は短命に終わり、1980年には廃車されました。951-2は車両試験台で使用される一方、951-1は現在、一般公開されており、訪問者はその技術革新を直接体験することができます。

まとめ

新幹線951形電車は、当時の最高速度記録を打ち立てた試験車両であり、今後の新幹線技術の礎となる重要な存在でした。その革新的な設計と先進機器は、後の新幹線の発展に大きく寄与しています。951形に搭載された数々の技術は、後の新幹線シリーズでも活かされており、日本の鉄道技術の進化を示す重要な車両です。

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