新庄博

新庄博（1902年8月16日 - 1978年11月17日）は、日本の経済学者であり、特に金融論と国際金融論の分野で顕著な業績を残しました。神戸大学経済学部教授、関西学院大学商学部教授を歴任し、教育者としても多くの人材を育成しました。

生涯

新庄博は、京都市に生まれ、京都市立第一商業学校（現在の京都市立西京高等学校）で学びました。同級生には、同じく経済学者として著名な野村寅三郎がいました。その後、神戸高等商業学校（現在の神戸大学）に進学し、卒業後は東京商科大学（現在の一橋大学）で高垣寅次郎教授の下で金融論を専攻しました。大学時代はテニス部に所属し、スポーツにも親しんでいました。1928年に大学を卒業後、神戸高等商業学校の講師として教鞭を執り始めました。その後、同校が神戸商業大学、神戸経済大学、そして神戸大学へと発展する中で、助教授、教授として長く勤務しました。

研究と教育

新庄博は、金融論と国際金融論を中心に、幅広い研究活動を展開しました。彼の研究は、日本の金融制度の発展に大きな影響を与え、その理論は多くの経済学者に引き継がれています。また、教育者としても優れた手腕を発揮し、三木谷良一、則武保夫、千田純一、片山貞雄など、多くの著名な経済学者を育てました。神戸大学では、附属図書館長や経済学部長も務め、大学運営にも貢献しました。

社会的活動と晩年

新庄博は、金融制度調査会臨時委員や日本学術会議会員も務め、社会的な活動にも積極的に参加しました。1966年に神戸大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後、関西学院大学商学部教授、南山大学教授を歴任し、後進の育成に尽力しました。1972年には、その功績が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました。1978年に76歳で逝去、紺綬褒章を受章し、正四位、従三位を追贈されました。

著作

新庄博は、数多くの著書を執筆しました。主な著書には、『銀行経営論』、『金融理論の新傾向』、『信託業論』、『金融論』、『広域経済と貨幣制度』、『国際金融論』、『貨幣論』などがあります。また、高垣寅次郎をはじめとする著名な経済学者と共編した『体系金融辞典』や『金融財政講座』など、共同研究の成果も多数発表しました。彼の著作は、金融論や経済学を学ぶ学生にとって、重要な参考文献となっています。

年譜

1902年：京都市に生まれる。
1921年：京都市立第一商業学校卒業。
1925年：神戸高等商業学校卒業。
1928年：東京商科大学卒業、神戸高等商業学校講師（貨幣・金融論担当）。
1934年：神戸商業大学助教授。
1944年：神戸経済大学教授。
1949年：神戸大学教授。
1953年：神戸大学附属図書館長、神戸大学神戸経済大学教授併任。
1956年：金融制度調査会臨時委員。
1962年：神戸大学経済学部学部長併任、日本学術会議会員。
1966年：神戸大学を停年により退官、神戸大学名誉教授。関西学院大学教授（商学部）。
1971年：関西学院大学退職、南山大学教授。
1972年：勲二等瑞宝章受章。
1978年：76歳で逝去、紺綬褒章受章、正四位、従三位。

参考文献

『新庄博先生追悼号』藤田正寛編、新庄会々誌ミネルヴァ追悼号、1980年11月
「新庄博博士略歴・著作目録 (新庄博博士記念號)」『国民経済雑誌』第114巻第3号、神戸大学経済経営学会、1966年

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