新庄町 (富山県)

新庄町（しんじょうまち）

富山県中部、かつて上新川郡に属していた新庄町は、現在の富山市中心部の東側に隣接する地域に位置していました。この町は、短いながらも地域行政の中心としての役割を担った歴史を持ちます。

歴史

新庄町は、明治時代に施行された町村制に基づき誕生しました。1889年（明治22年）4月1日、新庄新町村、町新庄村、川端村、東双代村、綾田村、荒川村、田中蓑浦村の一部、上飯野村、蓮花寺村、経堂村、新庄野村の一部といった複数の村域を合わせて、上新川郡新庄町として発足しました。

町制施行当初、町の行政機能は新庄新町内の役場で運営されていました。その後、行政活動の拠点として、より整った庁舎の建設が進められました。1891年（明治24年）、銀納屋敷41番地に新しい木造瓦葺きの町庁舎が完成しました。この庁舎は、階下がおよそ30坪、階上がおよそ25坪の規模を有していました。

昭和時代に入ると、周辺自治体との合併が進む時代の流れの中で、新庄町もそのあり方を問われることとなります。そして、1940年（昭和15年）9月1日、新庄町は富山市に編入されることとなり、一つの自治体としての役目を終えました。編入された町域は、現在の富山市の一部としてその名残をとどめています。

歴代町長

新庄町の町政は、発足から廃止までの期間にわたり、以下の町長たちがその運営を担いました。

1. 黒川 方三郎（1889年6月29日 - 1891年6月14日 辞職）
2. 金岡 七右衛門（1890年9月16日 - 1893年2月18日 辞職）
3. 三鍋 磯右衛門（1893年7月6日 - 1896年9月23日 辞職）
4. 亀谷 甚太郎（1897年1月23日 - 1899年8月19日 辞職）
5. 今枝 甚吾（1899年11月14日 - 1911年11月14日 満期）
6. 橋本 彌二平（1911年11月21日 - 1915年11月20日 満期）
7. 宮島 金次郎（1916年5月4日 - 1924年5月4日 満期）
8. 杉本 儀三郎（1924年5月8日 - 1936年5月7日 満期）
9. 上井 又悦（1936年5月7日 - 1937年8月2日 公用による辞職）
10. 釜谷 定次郎（助役。町長不在のため代理。1937年8月2日 - 1940年1月20日）
11. 日俣 彦一郎（1940年1月20日 - 1940年8月31日。富山市へ合併のため失職）

最後の町長となった日俣彦一郎氏は、富山市への編入に伴いその職を失いました。また、歴代町長の中には、一時的に助役が町長代理を務めた期間も存在します。

交通

新庄町の区域内には、地域の重要な交通インフラとして鉄道路線が通っていました。富山電気鉄道（現在の富山地方鉄道）の本線が町を横断しており、町内には東新庄駅と西新庄駅という二つの駅が設けられていました。これらの駅は、住民の移動や物流において中心的な役割を担い、町と外部地域との結びつきを支えました。

短期間の自治体としての歴史であった新庄町ですが、富山市の一部として、現在もその地理的な名称や地域性は受け継がれています。

もう一度検索