新愛知

新愛知（しんあいち）

新愛知とは、1888年7月5日に復刊された名古屋を拠点とする日刊新聞で、現在の中日新聞の前身の一つです。この新聞は、地域に根ざした報道を通じて、愛知県及びその周辺の情報を提供してきました。

歴史的背景

新愛知の前身は、1876年に創刊された『愛知日報』です。これは、名古屋で現存する最古の近代新聞です。愛知日報は、その後1886年に他の新聞と合併し、『扶桑新聞』になりました。この動きの中で、無題号という新しい新聞が創刊され、後に新愛知と合併します。また、翌年には『愛知絵入新聞』として日刊紙に生まれ変わりましたが、政府の弾圧により1868年には廃刊となりました。

こうした背景を持ちながらも、1888年に大島宇吉によって新愛知として復刊され、以降名古屋の主要な新聞へ成長していきます。1914年から1924年にかけては、著名なジャーナリスト桐生悠々が主筆として指導しました。

新愛知の成長と競争

昭和に入るころには、新愛知は政友会系の新聞として、東京や大阪の中央紙に次ぐ地方紙としての地位を確立しました。特に、関東大震災の直後には、その経営資源を活かし東京の名門紙・國民新聞社を傘下に取り込み、地元で最大の発行部数を誇るようになりました。

とはいえ、名古屋市内では民政党系の名古屋新聞との競争が激しく、両紙は政治や販売、各種事業で熾烈なライバル関係を築いていました。1936年には、名古屋軍（現在の中日ドラゴンズ）が結成され、スポーツ分野でも影響力を持つ新聞となりました。名古屋軍は、当時の主筆田中斉によって設立され、後に日本職業野球連盟への合流も果たしました。

合併と発展

1930年代に入ると、戦争や経済情勢の変化に伴う新聞統制の影響を受け、1942年には名古屋毎日新聞との合同が実施されます。この合併は、新愛知が愛知日報からの系譜を織り込む重要なステップとなりました。そして同年9月には名古屋新聞社との合併も行われ、新たに中部日本新聞社が設立されました。

大島家は中部日本新聞社の歴代社主を輩出し、後の中日新聞社の経営にも深く関与しました。新愛知の旧本社棟はその後、中日新聞社の別館として利用されましたが、1946年には別の形で経営体制が再構築されました。

社章と題字

新愛知の社章は創業者大島宇吉の信仰を反映したデザインで、設立当初から使われてきました。題字は、1913年から1942年まで用いられ、様々な文化や価値観を象徴する要素が織り込まれています。

まとめ

新愛知は地方紙としての役割を果たす中で、名古屋の地域社会と密接に結びつき、後の中日新聞社の礎となる重要な歴史を刻んできました。その過程で育まれたジャーナリズムの精神は、現在の中日新聞にも脈々と受け継がれています。

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