新旅足橋

新旅足橋

岐阜県加茂郡八百津町に位置する新旅足橋（しんたびそこばし）は、一般国道418号線の一部を構成する丸山バイパスに架かる重要な橋梁です。この橋は、周辺地域の交通網における長年の課題を解決するために建設されました。

建設の背景とその重要性

新旅足橋の建設は、主に二つの理由から必要とされました。一つは、新丸山ダムの完成に伴い、既存の国道418号の一部区間が、ダム貯水による水位上昇時に水没する可能性が生じたことです。もう一つは、加茂郡八百津町から恵那市にかけての約17.7キロメートルにわたる区間が、過去の災害の影響で長期間にわたり通行止めが続いていたことです。これらの問題を解消し、安定した交通路を確保するために、従来の道路の機能を代替する新たな付替道路（丸山バイパス）が計画され、その主要な構造物の一つとして新旅足橋が架けられました。この橋は、かつて同じ場所に存在した旅足橋の実質的な後継としての役割も担っています。

険しい地形への挑戦

新旅足橋が架けられた場所は、旅足川が長い時間をかけて深く削り込んだ典型的なV字谷である旅足川渓谷です。このような厳しい自然地形を跨ぐためには、高度な土木技術が不可欠でした。特に、橋脚の高さは地形に合わせ約100メートル（具体的には101.0メートルと93.5メートル）にも達しており、そのスケールは圧巻です。橋の桁下から川底までの高さに至っては、およそ200メートルにも及び、その高さを物語っています。

構造形式としては、PC3径間連続ラーメン箱桁橋が採用されています。これはプレストレストコンクリートを用いた連続桁橋の一種で、優れた構造安定性を持つのが特徴です。新旅足橋の構造は、119.0メートル、220.0メートル、119.0メートルという三つの支間から成り立っており、中でも中央支間長220.0メートルは、この種の構造としては国内でも有数の長さを誇ります。

地域との繋がりを示す特徴

新旅足橋には、地域との結びつきを示す心温まる特徴もあります。橋の名称などが刻まれた銘板の書体は、地元の小学校の生徒たちが考案した原案をもとにデザインされたものが採用されています。これにより、橋が地域社会の一員として親しまれる存在となるよう配慮されています。

日本一のバンジースポット「岐阜バンジー」

この非常に高い橋梁の立地を活かし、スリルを求める人々に人気の施設が開設されている点も特筆されます。2020年（令和2年）8月、新旅足橋を利用したバンジージャンプ施設、「岐阜バンジー」がオープンしました。地上からのジャンプポイントの高さは215メートルにもなり、これは現在（2023年）日本国内で体験できるバンジージャンプ施設としては最高の高さを誇ります。開設以来、多くのバンジージャンプ愛好家や、メディア等で活躍する著名人（江頭2:50氏、与田祐希氏、向井康二氏、遠藤さくら氏など）が訪れ、その比類なきスリルを体験しています。

新旅足橋の諸元

最後に、新旅足橋の基本的な概要をまとめます。

供用開始日: 2010年（平成22年）3月28日
橋長: 462.0メートル
幅員: 10.75メートル
有効幅員: 9.75メートル
車道幅員: 7.25メートル
歩道幅員: 2.00メートル
支間割: 119.0 m + 220.0 m + 119.0 m
種別・構造: PC3径間連続ラーメン箱桁橋

新旅足橋は、険しい自然環境における交通網の確保という工学的課題を見事に克服した構造物であり、その高い橋面を利用したバンジージャンプ施設が新たな観光資源として加わっています。地域住民の生活を支えるインフラであると同時に、訪れる人々に強い印象を与えるランドマークとしても機能しています。

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