旅足橋

旅足橋：日本唯一の特殊な吊り橋

旅足橋は、岐阜県加茂郡八百津町、旅足川が木曽川に合流する地点近くに架かる、特徴的な赤い吊り橋です。国道418号の旧道に位置し、かつては地域住民の重要な生活道路として利用されていました。現在では、新旅足橋の完成に伴いその役割を終えましたが、その特殊な構造から、保存に向けた動きが進められています。

橋の概要

旅足橋の南側には丸山ダムによって形成された丸山蘇水湖が広がっており、北側には旅足川が流れています。ただし、橋の上からは川の姿を直接見ることはできません。近年、丸山ダムのかさ上げによる新丸山ダムの建設が計画されており、これにより水位が上昇し、洪水時には橋が水没する可能性が高まっています。そのため、橋の歴史的・工学的価値を保全するための議論が重ねられています。

特徴的な構造

この橋の最大の特徴は、その構造にあります。旅足橋は、デビッド・スタインマンによって考案された特殊な吊り橋であり、同種の構造を持つ橋は世界でわずか5つしか存在しません。日本国内では、この旅足橋が唯一の例です。

この構造は、「アイバー吊り橋」とも呼ばれ、その特徴的な吊材であるアイバーから名付けられました。また、設計者の名前から「スタインマン型」、最初に同じ構造の橋が架けられた都市名から「フロレアノーポリス型」とも称されます。このユニークな構造は、土木工学の観点からも非常に価値が高いとされています。

世界に数少ない同構造の橋梁

旅足橋と同じ構造を持つ橋は、以下の4つです。

エルシリオ・ルス橋（1926年竣工）
シルバーブリッジ（1928年竣工、1967年崩壊）
セント・メアリーズ橋（1928年竣工、1967年シルバーブリッジ崩壊後閉鎖・解体、1973年ハイ・カーペンター・メモリアル・ブリッジとして再建）
ウォルター・テイラー橋（1936年竣工）

これらの橋は、いずれも歴史的、技術的に重要な建造物であり、旅足橋もその一つとして、世界的にも貴重な存在です。

詳細情報

2008年には橋のすぐ東で大規模な落石が発生し、長らく通行止めとなっていましたが、2020年6月現在では自家用車での通行が可能となっています。丸山ダムが建設される以前には、同名の小さな橋がこの場所に架けられていました。現在の橋は、その歴史を引き継ぐ形で建設されました。また、この区間の付替道路として、一般国道418号丸山バイパスが建設され、旅足川には新たに新旅足橋が架けられています。

周辺情報

旅足橋の周辺には、以下の観光スポットや施設があります。

丸山ダム
国道418号
旅足川
杉原千畝記念館
人道の丘公園
深沢峡（五月橋）
新旅足橋

これらの周辺スポットと合わせて、旅足橋を訪れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

鹿取茂雄（著）、磯部祥行（編）「国道418号〈不通区間〉」『酷道大百科』〈ブルーガイド・グラフィック〉、実業之日本社、2018年12月28日、42 - 43頁、ISBN 978-4-408-06392-8。

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