新栄電機産業

株式会社新栄電機産業の概要

株式会社新栄電機産業は、その設立が1959年にまで遡る、日本に於ける代表的な家電量販店チェーンです。1965年には法人化され、東京都葛飾区亀有に本店を構えることでスタートしました。特に東京の城東地区を中心に、千葉県や埼玉県にも店舗を展開し、地域密着のビジネスを展開していました。

コーポレートアイデンティティ

新栄電機産業は、そのコーポレートカラーとして鮮やかな黄色を採用し、赤色で「新栄電機産業」と記されたシンボリックな外観の本店ビルは、多くの人々に親しまれました。社名の「新栄」は創業社長の新井栄一に由来し、企業の文化や理念を反映したものとも言えます。

知名度と成長

新栄電機産業は、特にテレビCMに力を入れており、1970年代半ばからさまざまなバージョンのCMが放送されました。特に、海野かつをを起用した広告は関東エリア内での認知度を高める要因となりました。1989年には売上が55億円を記録するまで成長し、多くの消費者に支持されていました。

売上低迷と事業の終焉

しかし、1990年代に入ると個人消費の落ち込みや競合他社との厳しい戦いが影響し、経営は厳しさを増していきました。この結果、売上は減少し、2002年2月期にはわずか26億円にまで落ち込むこととなりました。リストラや店舗の閉鎖を進めたものの、バブル期に積み上げた借入金の重圧が経営を圧迫し、2003年に東京地方裁判所に約16億円の負債を抱え自己破産を申請し、事業を終了することとなりました。

テレビCMの構成

新栄電機産業のCMは、初期、中期、後期と時期によって大きく3つのパターンに分けられます。

初期バージョン

CMの初期バージョンでは、海野かつをが一人二役で、顧客と店員の両方を演じて登場。折込チラシを見て驚いた顧客が急いで電話をし、店員が配達に行くという短いストーリーで、視聴者に強い印象を残しました。

中期バージョン

中期バージョンでは、安さを訴求するために海野に加え、14名の女性スタッフが登場。シンクロした動きとともに「ファイト、ファイト、新栄」と声を揃え、商品情報を楽しげに伝えるスタイルは、当時のトレンドを反映していました。

後期バージョン

1990年代初頭の後期バージョンでは、海野は出演せず、映像技術を利用した新しいスタイルとなり、視聴者に新たな印象を与えることを目指しました。

その他のメディア展開

テレビCM以外にも、TBSラジオで「おはようからおやすみまで、今がホットな新栄電機」といったフレーズのラジオ広告も展開し、多面的なアプローチを行っていました。

最盛期の店舗網

新栄電機産業はその最盛期に、東京都内に多くの店舗を展開し、特に亀有、金町、堀切、西新井などで存在感を示していました。千葉や埼玉にも多様な店舗があり、地域に根ざしたビジネスを展開していた点でも評価されています。

おわりに

このように新栄電機産業は、創業から数十年に渡り日本の家電小売業界で重要な役割を果たしてきましたが、時代の変化に伴う経営の困難さが最終的には破たんという形で表れました。

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