新民謡

新民謡とは

新民謡（しんみんよう）とは、大正後期から昭和初期にかけて創作された地域色豊かな歌曲を指します。この歌曲は、地方自治体や企業からの依頼によって制作され、地元の人々が気軽に歌い踊ることで愛郷心を高めることを目的としていました。また、その地域の観光名所や特産物を全国へアピールする手段ともなりました。

新民謡の特徴

新民謡は「新しい民謡」に由来し、特に地域の特色が感じられる内容の音頭などを基にしています。以下のようなテーマが盛り込まれています。

名所風景

観光名所や美しい風景をテーマにしたものが多く、城跡や名山、港などが歌われます。これにより、郷土愛を喚起しつつ観光PRを行うオーソドックスな手法が用いられています。一部の曲では、名所を巡るストーリー性が持たせられたものも見受けられます。

都市風俗

東京などの大都市の繁華街や地名を取り上げ、その華やかさや賑わいを歌い上げる作品もあります。このような楽曲は、地域の魅力を広く知らせる役割を果たしています。

名物・名産品

地元に根付いた名物や特産品を称賛する歌も多いです。農産物や海産物、さらに菓子や工芸品などがテーマとして取り上げられ、その地域の魅力を引き立てています。

言語に関しては、標準語が使われるケースが多いですが、一部には方言を取り入れた楽曲も存在します。

音楽スタイル

新民謡は民謡の形式を模倣していますが、必ずしもすべての曲が伝統的な民謡の音楽スタイルを持っているわけではありません。音頭調だけでなく、民謡調の小唄風や行進曲風のものもあり、場合によっては洋楽の要素を取り入れたものも存在します。これら洋楽調の楽曲は「民謡」としての定義から外れますが、制作の目的が新民謡としての定義に沿っていれば、受け入れられることもあります。

受容の仕方

新民謡は全国的に広まった流行歌とは異なり、最初から特定地域に限定してリリースされることも多かったです。ただし、「東京音頭」のように一度地域限定で始まった曲が全国的に広がることもありました。戦後は新民謡の分野が衰退し、流行歌も終焉を迎えたことから、地域に特化した「ご当地ソング」が登場しました。

代表的な作品

新民謡の中には、地域限定でリリースされて全国的に有名にならなかった楽曲も多く存在しますが、以下に挙げる作品は特に知られています。

• - ちゃっきり節: 1927年に静岡電気鉄道が制作し、戦後に広まりました。
• - 東京音頭: 原題は「丸の内音頭」で、1933年に全国的に有名になりました。
• - ミス仙台: 1936年に制作され、後に歌詞が改変され全国発売されました。
• - 武田節: 1961年にデビューし、武田信玄をテーマとしています。
• - 安曇節: 1923年に制作された作品です。

著作権について

新民謡は、著作権が存在する楽曲が多いです。民謡は自然発生的ですが、新民謡は作詞者や作曲者がいるため、引用などを行う際には注意が必要です。特に、広く知られている楽曲は「民謡」として認識されがちですが、実際には新民謡である場合もあります。

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