新津油田

新津油田：日本の石油産業黎明を支えた油田の歴史

新津油田は、新潟県新潟市秋葉区（旧新津市）に位置し、明治後期から大正時代にかけて日本一の産油量を誇った油田です。1996年に生産を完全に停止しましたが、その歴史は日本の石油産業の黎明期を支えた重要なものでした。

新津油田の概要

新津油田では、当初は手掘りで採掘が行われていましたが、後に上総掘り、綱掘り、ロータリー式掘削などの技術が導入され、2,000坑を超える油井が掘削されました。金津鉱場を中心に、朝日・塩谷、矢代田、小口など新津丘陵の各地で採掘が行われ、採掘された原油は麓の能代川（現・新津川）沿いや信濃川下流の関屋に建てられた多くの製油所に船で運ばれました。

現代においても、油やガスが湧出する箇所があり、民家の敷地で石油を含む泥水が噴出するなどの被害が発生することがあります。

新津油田の歴史

新津油田の歴史は古く、以下のような変遷を辿っています。

668年：越国から燃土と燃水が献上される。
1608年：真柄仁兵衛が田家の山中で新たに煮坪（油田）を発見。
1613年：真柄仁兵衛が新発田藩主の溝口家の許可を得て採掘を開始。
1874年：中野家が政府に採掘を出願し、手掘り2号井で初めて日量4キロリットルを生産。
1893年：上野昌治が新津油田最初の上総掘りに成功。重油燃焼法の発明もあり石油ブームが起こる。
1917年：年産12万キロリットルを達成し、産油量日本一となる。
1996年：最後の井戸の採掘が終了し、新津油田での生産が完全に停止。
2007年：日本の地質百選に選定。
* 2018年：新津油田金津鉱場跡が国の史跡に指定。

石油の里公園

油井があった一帯は、1980年代から「石油の里公園」として整備されており、「石油の世界館」や「石油の古代館」、「中野邸記念館」などの施設があります。公園内には展示用の石油櫓やポンピングパワーなどの石油産業関連施設が残されており、周辺の地層からはオイルサンドを見つけることもできます。また、菩提寺山をはじめとした新津丘陵の散策路の玄関口となっており、「里山ビジターセンター」が園内に設置されています。

新津温泉

油田採掘のボーリング中に温泉が掘り当てられ、新津温泉として利用されています。強烈な石油臭がする温泉として知られています。

新津油田は、日本の石油産業の歴史を語る上で欠かせない存在です。石油の里公園では、その歴史と遺産を学ぶことができます。また、新津温泉では、石油の恵みである温泉を楽しむことができます。

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