新潟市立沼垂図書館
新潟市立沼垂図書館（にいがたしりつぬったりとしょかん）は、かつて新潟県新潟市沼垂地区に位置していた公立図書館です。その歴史は古く、現在の新潟市立中央図書館の基盤となった施設の一つとして知られています。
図書館のルーツは明治時代に遡ります。1905年（明治38年）9月23日、沼垂尋常高等小学校内に私立沼垂図書館が開設されました。これは沼垂町教育会、北星文庫、庚子文庫という三つの団体が協力して運営にあたったもので、開館当初は約1,600冊の蔵書を有していました。しかし、1914年（大正3年）に沼垂町が新潟市に編入されたことに伴い、一度その活動を終えます。その後、1920年（大正9年）9月10日には、新潟市役所沼垂出張所の建物の一部を借りる形で、沼垂町青年協会によって図書館活動が再開されました。
地域の図書館活動への期待が高まる中、私立運営の不安定さを懸念した図書館関係者や市民からの強い要望が寄せられます。1926年（大正15年）1月には市への移管を求める請願が行われ、これが認められた結果、同年4月に新潟市立沼垂図書館として新たに開館しました。開館当初は独立した施設でしたが、1942年（昭和17年）12月に火災に見舞われ、建物が全焼し閉館を余儀なくされます。残存した図書は、当時の新潟市立高等女学校に一時保管されました。
戦後、公共図書館が社会教育において重要な役割を担う中で、沼垂地区でも図書館再開への機運が高まります。1947年（昭和22年）7月、新潟市役所沼垂出張所内のスペースを利用して図書館活動が再開されました。当初の蔵書数は3,538冊でした。利用者の増加に伴い、市民グループの要望も後押しとなり、1949年（昭和24年）10月には出張所の2階フロア全体を図書館として使用できるようになり、閲覧室が大幅に拡充されました。この時点で蔵書数は5,800冊に増加しています。市民からの要望が強かった個人への館外貸出も、1951年（昭和26年）1月から開始されました。図書館を取り巻く法整備も進み、図書館法制定を受けて1950年（昭和25年）12月には新潟市立沼垂図書館設置条例が制定されますが、翌1951年（昭和26年）3月末には新潟市立図書館条例が新たに制定され、その一部となりました。また、1952年（昭和27年）11月には新潟市教育委員会の発足に伴い、図書館の運営は教育委員会の所管となります。
1953年（昭和28年）12月、新潟市役所沼垂支所が他の場所へ移転したため、その旧建物の全てを図書館施設として使用できることになり、独立した図書館としての体制が整いました。利用しやすい環境を整備するため、1954年（昭和29年）6月から8月にかけて建物の改築が行われ、リニューアルオープンしました。地域住民へのサービス拡充として、1955年（昭和30年）8月からは松浜、南浜、坂井輪などの公民館で巡回文庫の活動が開始され、その後活動範囲は拡大していきました。
1964年（昭和39年）6月16日に発生した新潟地震は、沼垂図書館に壊滅的な被害をもたらしました。地盤沈下により建物は大きく傾斜し、本館と書庫が分離するなど、使用不能な状態となりました。余震による倒壊の危険もあったため、同年7月22日には建物の解体が行われました。この地域の地盤が悪かったため、元の場所での再建は困難となります。
地震直後の同年6月20日からは、沼垂小学校敷地内にあった江東公民館へ仮移転し、図書館活動を継続しました。約28,000冊あった蔵書の多くは沼垂小学校の倉庫に保管され、江東公民館の大広間では約6,000冊の小説や全集類が公開されました。さらに、資料公開に協力の申し出があった市内3箇所で「青空文庫」を実施し、移動図書館の先駆けともなる取り組みを行いました。
仮移転期間を経て、1965年（昭和40年）12月13日、東地区総合庁舎の完成に伴い、沼垂図書館は同庁舎内に移転し、全業務を再開しました。鉄筋5階建ての庁舎の2階と3階の一部を図書館施設とし、一般閲覧室と児童閲覧室、書庫などを配置しました。延床面積は598平方メートルでした。その後、1983年（昭和58年）1月には庁舎内の配置換えと改築により、延床面積が936平方メートルに拡充され、利用環境の改善（冷房設置など）も進みました。
サービス面でも拡充が図られ、1992年（平成4年）4月からは全ての日曜日に開館するようになり、1993年（平成5年）10月からは一人あたりの貸出冊数が3冊から5冊に増加しました。2000年（平成12年）4月には新電算システムが導入され、利便性が向上しました。約80年にわたる歴史を経て、新潟市立沼垂図書館は2007年（平成19年）6月1日、新たに開館した新潟市立中央図書館への統合移転に伴い、その役割を終え閉館しました。
この図書館の歴史は、地域の教育・文化拠点としての公共図書館が、社会情勢の変化や自然災害といった困難を乗り越えながら、市民の要望に応え、サービスを拡充してきた歩みを示しています。
前身の時代
図書館のルーツは明治時代に遡ります。1905年（明治38年）9月23日、沼垂尋常高等小学校内に私立沼垂図書館が開設されました。これは沼垂町教育会、北星文庫、庚子文庫という三つの団体が協力して運営にあたったもので、開館当初は約1,600冊の蔵書を有していました。しかし、1914年（大正3年）に沼垂町が新潟市に編入されたことに伴い、一度その活動を終えます。その後、1920年（大正9年）9月10日には、新潟市役所沼垂出張所の建物の一部を借りる形で、沼垂町青年協会によって図書館活動が再開されました。
市立図書館としての歩み
地域の図書館活動への期待が高まる中、私立運営の不安定さを懸念した図書館関係者や市民からの強い要望が寄せられます。1926年（大正15年）1月には市への移管を求める請願が行われ、これが認められた結果、同年4月に新潟市立沼垂図書館として新たに開館しました。開館当初は独立した施設でしたが、1942年（昭和17年）12月に火災に見舞われ、建物が全焼し閉館を余儀なくされます。残存した図書は、当時の新潟市立高等女学校に一時保管されました。
戦後、公共図書館が社会教育において重要な役割を担う中で、沼垂地区でも図書館再開への機運が高まります。1947年（昭和22年）7月、新潟市役所沼垂出張所内のスペースを利用して図書館活動が再開されました。当初の蔵書数は3,538冊でした。利用者の増加に伴い、市民グループの要望も後押しとなり、1949年（昭和24年）10月には出張所の2階フロア全体を図書館として使用できるようになり、閲覧室が大幅に拡充されました。この時点で蔵書数は5,800冊に増加しています。市民からの要望が強かった個人への館外貸出も、1951年（昭和26年）1月から開始されました。図書館を取り巻く法整備も進み、図書館法制定を受けて1950年（昭和25年）12月には新潟市立沼垂図書館設置条例が制定されますが、翌1951年（昭和26年）3月末には新潟市立図書館条例が新たに制定され、その一部となりました。また、1952年（昭和27年）11月には新潟市教育委員会の発足に伴い、図書館の運営は教育委員会の所管となります。
1953年（昭和28年）12月、新潟市役所沼垂支所が他の場所へ移転したため、その旧建物の全てを図書館施設として使用できることになり、独立した図書館としての体制が整いました。利用しやすい環境を整備するため、1954年（昭和29年）6月から8月にかけて建物の改築が行われ、リニューアルオープンしました。地域住民へのサービス拡充として、1955年（昭和30年）8月からは松浜、南浜、坂井輪などの公民館で巡回文庫の活動が開始され、その後活動範囲は拡大していきました。
新潟地震と復旧
1964年（昭和39年）6月16日に発生した新潟地震は、沼垂図書館に壊滅的な被害をもたらしました。地盤沈下により建物は大きく傾斜し、本館と書庫が分離するなど、使用不能な状態となりました。余震による倒壊の危険もあったため、同年7月22日には建物の解体が行われました。この地域の地盤が悪かったため、元の場所での再建は困難となります。
地震直後の同年6月20日からは、沼垂小学校敷地内にあった江東公民館へ仮移転し、図書館活動を継続しました。約28,000冊あった蔵書の多くは沼垂小学校の倉庫に保管され、江東公民館の大広間では約6,000冊の小説や全集類が公開されました。さらに、資料公開に協力の申し出があった市内3箇所で「青空文庫」を実施し、移動図書館の先駆けともなる取り組みを行いました。
東地区総合庁舎時代、そして閉館
仮移転期間を経て、1965年（昭和40年）12月13日、東地区総合庁舎の完成に伴い、沼垂図書館は同庁舎内に移転し、全業務を再開しました。鉄筋5階建ての庁舎の2階と3階の一部を図書館施設とし、一般閲覧室と児童閲覧室、書庫などを配置しました。延床面積は598平方メートルでした。その後、1983年（昭和58年）1月には庁舎内の配置換えと改築により、延床面積が936平方メートルに拡充され、利用環境の改善（冷房設置など）も進みました。
サービス面でも拡充が図られ、1992年（平成4年）4月からは全ての日曜日に開館するようになり、1993年（平成5年）10月からは一人あたりの貸出冊数が3冊から5冊に増加しました。2000年（平成12年）4月には新電算システムが導入され、利便性が向上しました。約80年にわたる歴史を経て、新潟市立沼垂図書館は2007年（平成19年）6月1日、新たに開館した新潟市立中央図書館への統合移転に伴い、その役割を終え閉館しました。
この図書館の歴史は、地域の教育・文化拠点としての公共図書館が、社会情勢の変化や自然災害といった困難を乗り越えながら、市民の要望に応え、サービスを拡充してきた歩みを示しています。
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