新潟早生 (米)

新潟早生（にいがたわせ）について

新潟早生は、新潟県で育成された水稲の一つであり、その特徴から多くの農家に支持されています。この品種は1979年に新潟県の推奨品種に指定され、水稲栽培の選択肢として広く認識されています。

特徴

新潟早生は早生粳種であり、その特性は以下のような点にまとめられます。

• - 苗丈がやや短いこと: この特性により、風や雨による倒伏に強く、育成が容易です。
• - 葉色はやや濃い: これにより光合成効率が高まり、成長を助ける要素となります。
• - 剛性に富む短稈: 倒伏に対する耐性が強いため、安定した収穫が期待できます。
• - 長穂の偏穂重型: 穂数がやや少ないものの、一つ一つの穂が重く、収量性が高いという特性を持っています。
• - 病気への抵抗性: いもち病に対しては抵抗遺伝子を持つものの、圃場抵抗性は若干不十分で、特に紋枯病や白葉枯病には弱いため、注意が必要です。
• - 中小粒の玄米: 新潟早生の米は品質と食味が良好で、特に多くの消費者に愛されています。
• - 幅広い適応性: 新潟県内での栽培に非常に適しており、特に標高400メートル以上の地域や白葉枯病が発生する地域を除いて、多様な条件で育成可能です。さらに、機械化栽培にも対応しているため、効率的な農業を支援します。

開発の経緯

新潟早生が育成される以前、新潟県の水稲栽培は主に「コシヒカリ」と「越路早生」が占めていました。しかし、これらの品種には致命的な問題がありました。特に、倒伏しやすく、いもち病に対する抵抗性が弱かったため、栽培が難しいという課題があったのです。

特に新潟県の山間部ではいもち病の発生が常に存在し、1976年には平坦部でも大規模な発生が確認されました。そのため、農業においてこれらの品種を使うことが難しくなり、流通側からの評価も低下していました。他の早生品種、たとえばトドロキワセや初まさり、ホウネンワセにもそれぞれ弱点があったため、より安定した品種の必要性が叫ばれていました。

こうした背景の中、1971年には新潟県農業試験場で「ふ系91号」を母本として、「長60」を父本にして人工交配が行われました。系統育種法を用いて、生成された雑種の第2代および第3代が、南魚沼郡塩沢町で選抜され、この過程を通じて品質や収量において優れた特性を持つ個体を選びました。1976年には第5代が「長491」という名称で登場し、翌年には「新潟16号」として系統名が付けられました。そして1979年、新潟早生と名付けられ、推奨品種として正式に認められたのです。

このように、新潟早生は長年の研究と選抜によって開発された安定した品種であり、現在でも新潟県の農業において重要な役割を果たしています。

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