新田宮流

新田宮流（しんたみやりゅう）

新田宮流は、和田平助正勝によって創立された日本の伝統的な抜刀術、つまり居合の流派であり、特にその実践的なアプローチが特徴として知られています。この流派は、剣術の技術を磨くための理論や方法を強調し、実戦での有効性を重視する点が際立っています。

流派の創始者である和田平助正勝は水戸藩の第2代藩主である徳川光圀の警護を担い、剣術家としての名声を確立しました。和田は、田宮流居合術を基に朝比奈夢道から技術を習得し、水野新五左衛門からは水野流の剣術を学びました。彼はこれらの知識を融合させ、新たに新田宮流を創設しました。

新田宮流の特徴的な要素は、常に先手を打つことによって効果的に相手を制圧する実践的な戦術です。この流派は、徳川光圀が学んだとされる実績もあり、藩外に広まることはありませんでしたが、弘道館においてその技術が教授されたため、広く知られることとなりました。

新田宮流を学んだ弟子の中には、多賀権内盛政のように脱藩し、自らの流派である自鏡流を設立した者もいます。このことからも、新田宮流が剣術界に与えた影響の大きさが伺えます。

現在では、水戸東武館古武道保存会に所属する二人の師範が新田宮流の技術を引き継ぎ、その技術を維持しています。流派自体は地域に根ざす伝統文化としての価値を持ち、その歴史と技術は今後も引き継がれていくことでしょう。

特筆すべきは、2013年（平成25年）10月25日に新田宮流が水戸市の無形文化財に指定されたことです。この指定は、和田平助正勝が築いた流派の重要性とその文化的資産としての認識を示しています。

新田宮流は、現代においてもその独自の技術と精神を持ち、剣術愛好者に大きな影響を与え続けています。流派に関心を持つ人々は、水戸東武館での伝承や訓練を通じて、この流派の深い歴史と技術を学ぶことができる機会を得ることができます。

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