新田栄

新田 栄：ピンク映画界の多作なる職人監督

新田 栄（にった さかえ）は、1938年5月16日に日本の群馬県で生まれた映画監督です。出身地については、桐生市とする場合と、かつて新田郡に属していた藪塚本町（現在の太田市の一部）とする場合があり、媒体によって言及が異なります。ピンク映画の分野を主な活躍の場とし、自身のプロダクションであるサカエ企画の代表も務めています。

彼の映画監督としてのキャリアは、俳優活動やマネージャー経験を経てスタートしました。1957年に上京し、まずは日綿實業に勤務。その後、東京俳優学校で学び、北村淳という芸名で俳優として活動していました。1977年には、谷ナオミ劇団のマネージャーを務めるなど、映画製作の裏方や演劇に関わる経験を積んでいます。

映画監督としての第一歩を踏み出したのは1982年です。同年2月に劇場公開された東活製作の「乱れた人妻たち」が、彼の初監督作品となりました。そして翌1983年3月公開の新東宝映画製作「女教師・緊縛化粧」がヒットを記録し、ビデオソフト化もされたことで、監督としての名を高めました。

1980年代半ばからは、特に東活において専属監督の一人として精力的に活動しました。この時期の新田監督は驚異的なペースで作品を量産しており、八木沢修平など複数の別名義も使いながら、毎月2本もの作品を手がけることもあったといいます。その多忙ぶりは、当時のピンク映画製作現場の活況と、監督への需要の高さを物語っています。東活での代表作としては、1987年11月公開の「急に変になっちゃうのよ・・・？」があり、これは同社作品としては珍しくビデオ化された作品として知られています。

1990年代に入ると、活動の中心はエクセス・フィルム（新日本映像）や新東宝映画へと移ります。これらの会社でも数多くの作品を発表し、中でもエクセス・フィルムにおいては主力監督として重用され、レギュラー監督の一人となりました。この時期には、1993年の「女子大生・スカートの中をえぐれ！」といったヒット作も生まれています。また、2002年5月公開の「介護ＳＥＸ お義父さん、やめて！」は、俳優の螢雪次朗がピンク映画に出演した最後の作品としても知られています。

新田監督の作品には、「指の記録」、「エステセックス美容法」、「緊縛 縄の陶酔」、「ノーパンしゃぶしゃぶ 下半身接待」といった多岐にわたるテーマや表現を用いたものが多く、ピンク映画というジャンルの中で自身のスタイルを確立していきました。作品によっては、早乙女宏美や風間ゆみといった当時の人気女優が主演を務めています。

多くの作品で脚本を共にした人物としては、岡輝男（丘尚輝名義で出演も）や久須美欽一（夏季忍名義で脚本提供も）が挙げられます。特に久須美欽一は、俳優としても新田作品に多数出演しており、監督との密接な関係性がうかがえます。このように、新田栄は長年にわたりピンク映画界で精力的に活動し、その多作ぶりとヒット作の数々によって、この分野における重要な監督の一人として確固たる地位を築いています。

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