新東宝映画

新東宝映画株式会社

新東宝映画株式会社は、かつて存在した新東宝株式会社の解散後に、その流れを汲んで設立された映画会社です。新東宝は1961年に倒産し、その事業は分割・清算されました。しかし、旧新東宝の関西支社の有志が、配給網を活かして自主配給・興行を開始し、これが新東宝映画の前身である新東宝興業株式会社となりました。

設立と初期の活動

新東宝興業は、当初、旧新東宝作品の再配給や洋画の配給を行っていました。しかし、1963年には、旧新東宝の監督たちを起用して『日本残酷物語』を製作するなど、自主製作にも乗り出しました。配給した洋画は、お色気ものや海外レビューの中短編が中心でした。その後、新東宝興業は、旧新東宝に関係していた監督や脚本家を起用し、ピンク映画と呼ばれる短編の成人映画を次々と製作・配給するようになります。当初は、旧新東宝系の映画館を中心に配給していました。

ピンク映画への転換

1964年、新東宝興業は現在の社名である新東宝映画株式会社に社名を変更し、本格的にピンク映画の製作を開始しました。製作にあたっては、新東宝興業の取締役であった並木謹也が設立した制作プロダクション「新東宝」や、旧新東宝出身の小森白が経営する東京興映、松竹系列の中映プロダクション、浅野辰雄監督の浅野プロダクション、本木荘二郎のシネユニモンドなどと提携しました。これらの提携は、撮影所や製作部門を持たない新東宝映画にとって、必要不可欠なものでした。

1960年代以降は、矢元照雄の国映や西原儀一監督の葵映画、日本シネマなどの作品を配給しました。現在でも国映作品が新東宝映画で配給されるのは、このチェーン網の名残です。また、新東宝映画のオープニングで流れるファンファーレは、もともと葵映画のオープニングのために製作されたものです。

1970年代以降は、外部プロダクション作品が減少し、自社製作作品が増加しました。同時期には、大蔵貢も大蔵映画で同傾向の映画を製作・配給し、配給網「OPチェーン」を構築するなど、業界内での競争が激化しました。

競争と直営館の運営

1968年には、東映が成人映画（東映ポルノ）の製作・配給を開始し、1971年には日活がロマンポルノの製作・配給を開始したため、新東宝映画の女優やスタッフがヘッドハンティングされるなど、競争は激化しました。

新東宝映画は、製作配給業務のほか、直営の成人映画館として、シネマ有楽町（東京都）、東梅田シネマ（大阪府）、ナンバ新東宝（大阪府）、第一ニシキ館（岡山県岡山市）などを経営していました。

現在の状況

大手映画会社が成人映画の製作を停止した1980年代後半以降、新東宝映画は数少ないピンク映画の配給会社として活動を続けました。竹書房やオールインエンタテインメントなどの異業種他社との共同出資により、新作も製作してきましたが、2010年代に入った頃から新作提供が非常に少なくなっており、2014年を最後に製作・配給共に休止状態となっています。

関連事項

ピンク映画

外部リンク

新東宝映画株式会社
* Shintôhô Pictures, Shintoho Company, Shintoho Film Distribution Committee - IMDb

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