新町遊廓 (台南市)

新町遊廓：台湾、台南に存在した遊廓の歴史

新町遊廓は、日本統治時代の台湾、台南市新町に存在した遊廓です。1922年、台南州政府が市内の貸座敷（妓楼）を集約し、管理と風紀の向上を図ったことで誕生しました。この遊廓区域は、第二次世界大戦後もその姿をとどめ、1980年代の娼妓制度改革まで存続しました。現在の台南市中西区の康楽街、大智街、大仁街、大勇街一帯が、当時の新町にあたります。

新町遊廓の歴史

1922年、台南州は台南市内の粗糠崎、媽祖港、南勢街など各所に点在していた貸座敷の営業を廃止しました。そして、台南市新町一丁目、二丁目の嘉義街嘉義西門外地区と、斗六街の斗六地区にのみ貸座敷の営業を許可しました（大正11年6月6日台南州令第22号）。これが新町遊廓の始まりです。

新町遊廓は、台南運河の南部幹線である汐止橋（現在の保安路と大智街）を境界として、北側を新町一丁目、南側を新町二丁目と分けられました。一丁目は、主に日本の内地人や朝鮮人が経営する貸座敷が軒を連ね、二丁目は主に台湾人経営の貸座敷が中心でした。1934年の『台南市商業案内』や1937年の『台南市商工案内』には、当時の遊廓の様子が記録されています。

新町遊廓の主な貸座敷

日本内地人経営の貸座敷：皆花園、金波樓、明石樓、明月樓、高砂樓、布引樓、豐本、東樓、加賀屋、富士見樓、開門樓、北國樓
朝鮮人経営の貸座敷：鮮月樓、朝鮮樓
台湾本島人（漢人）経営の貸座敷：真花園、玩春園、愛月園、樂春樓、小春園、昭和樓、浪花樓、桂花亭、新春閣

これらの貸座敷の中で、「真花園」は新町において最後まで合法な店舗として営業を続けましたが、2009年5月20日に惜しまれつつも取り壊されました。

新町稲荷社

新町遊廓の鎮守として、1923年（大正12年）3月3日に新町稲荷社が創建されました。遊廓で働く人々や訪れる人々の心の拠り所として、信仰を集めたと考えられます。

新町遊廓は、台湾における遊廓の歴史を語る上で重要な場所であり、その存在は当時の社会、文化、人々の生活に深く関わっていました。

参考文献

『台南市商業案内』
* 『台南市商工案内』

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