台湾人に関する詳細な考察
台湾人(たいわんじん)は、主に
台湾本島およびその付属島嶼、澎湖諸島に住む人々を指します。2022年時点での
台湾の総人口は約2300万人であり、その民族的な構成は多様であり、興味深い特徴を持っています。『言語社会與族群意識』の調査によると、
台湾原住民は人口の1.7%、閩南民系が73.3%、
客家族が12%、外省人が13%を占めています。また、
台湾の人類学者、黄宣範氏によると、10代の若者の100%が「私は
台湾人であり、
中国人ではない」との認識を持っていることがわかります。さらに、現代の遺伝学的な調査によれば、
台湾住民の88%が原住民の祖先を有するとのことです。
日本統治以前
台湾は、もともとマレー・ポリネシア系の先住民族が居住しており、文化的に多様な地域でした。しかし、オランダによる統治の際、
中国大陸からの漢族の移民が始まりました。福佬人や
客家人の移住が進み、19世紀初めには
台湾の人口は200万人近くに達しました。この結果、先住民族は少数者としての地位に立たされました。
日本統治時代
1895年、日清戦争の結果、
台湾は日本の植民地となります。この時期、日本人移民が増加し、最終的には約40万人に達しました。当初、漢族系住民は「本島人」と呼ばれ、日本人を侵略者として見る者も多かったですが、次第に日本のアイデンティティを持つ人々が増えました。この時、日本・
台湾人間には社会的な階層が形成され、日本人が最上位、「本島人」が続き、原住民の「蕃人」が最下位とされました。
1945年、第二次世界大戦後、
台湾は
中華民国に編入され、
台湾人民は「本省人」と呼ばれるようになりました。その後、外省人と呼ばれる中国本土からの移民も増加しました。これに伴い、
1947年に発生した二・二八事件は、国民党政権と
台湾住民との間の対立を引き起こし、多くの
台湾住民が国民党政権へ疎外感を抱く結果となりました。この時期、政治的な抑圧が進み、外省人エリートによる権力独占が固定化されました。
1986年以降、
台湾は徐々に民主化の過程を辿り、
1996年には総統の直接選挙が実施されます。この民主化は、
台湾人のアイデンティティや文化への目覚めを促進しました。
1980年代中頃から先住民族の権利回復運動が盛んに行われ、多様な文化政策が進められました。特に、福佬語は「
台湾語」としての地位を高め、国会などでの使用も増えています。
台湾人の民族意識の変化
李登輝元大統領は、
台湾の独立性を訴え、
台湾は歴史的に見ても異なる政府によって統治された地域であり、中国の一部として見ることはできないと主張しました。近年の調査では、特に若年層において「自分は
台湾人である」と答える人の割合が高まり、反対に「自分は
中国人である」と考える人は減少傾向にあります。
2020年には、国立政治大学の調査により、67%が「自分は
台湾人」と回答し、「自分は
中国人」とする回答はわずか2.4%にとどまりました。
統計データによると、大陸委員会や海峡交流基金会などによる調査も、
台湾住民のアイデンティティが
台湾人であるとする要素が強く、特に「
台湾は中国の一部」という考え方に否定的な意見が多数を占めています。
台湾の世代間での意識の違いが浮き彫りになっており、民主化以降の若者たちが特に強い
台湾人意識を持つようになっています。多様な文化的背景を有する
台湾人が、今後どのように自らのアイデンティティを築いていくのかが、今後の大きな課題となるでしょう。