新神学者シメオン

新神学者シメオン

新神学者シメオン（949年 – 1022年）は、中世正教会の神学者、神秘思想家であり、聖人として記憶されています。正教会において「神学者」の称号を持つ聖人は限られており、シメオンはその中でも特に重要な人物の一人です。

生涯

シメオンは949年、小アジアのガラティア地方の貴族の家に生まれました。12歳頃から叔父に連れられてコンスタンティノープルで教育を受け、14歳の時にストゥディオス修道院の修道士に出会ったことがきっかけで信仰に目覚めます。修道士から与えられた著作を通して、良心に従うことの重要性を学びました。

当初は官吏として働いていましたが、27歳でストゥディオス修道院に入ります。しかし、その熱心さから他の修道士たちに受け入れられず、間もなく追放されてしまいます。その後、隣の聖ママス修道院に移り、980年に司祭に叙階され、31歳で修道院長に選ばれました。

聖ママス修道院は当時荒廃していましたが、シメオンは約30年にわたり修道院の再建と修道士たちの霊的な刷新に尽力しました。彼は自己の内面を磨き、修道士たちを霊的に指導し、その講話は彼の主要な著作として現代に伝えられています。

しかし、彼の活動は平穏ではありませんでした。修道院内で反乱が起こり、総主教との論争も生じました。シメオンの、位階制よりも神との個人的な交わりを重視する姿勢は、教会当局から脅威とみなされ、1009年に追放処分を受けました。その後、クリュソポリスに隠遁し、小さな修道院を建てて弟子たちと生活しました。追放は後に解かれましたが、彼はそのままその地に留まり、著述と指導に専念し、1022年に没しました。

シメオンは、形式主義化していた当時のキリスト教に対し、生きた信仰を取り戻そうとしました。彼の霊性は、東方教父たちの霊性の流れを受け継いだものでした。

主な著作

『100の実践的・神学的主要則』
『教理講話』
『神学的・倫理学的論考』
『神の愛への賛歌』
* 『書簡集』

シメオンの思想は、現代においても正教会の信仰生活に大きな影響を与え続けています。

もう一度検索