新納久仰

新納久仰（にいろ ひさのり）

新納久仰は、江戸時代後期の薩摩藩における重要な人物で、家老として藩政に深く関わりました。1807年、畠山義矩の次男として生まれ、後に新納久命の跡を継ぎました。

生涯

久仰は、1825年に当番頭および加久藤地頭職に就任したのを皮切りに、琉球付役、用人、異国船掛、兵具方掛、数寄屋掛、寺社奉行、大姶良地頭職、寺社方内掛、大番頭、勘定奉行など、様々な役職を歴任しました。これらの役職を経験する中で、彼は藩政における幅広い知識と実務能力を培いました。特に重要な転機となったのは、1851年に島津斉彬が藩主となると、家老に抜擢されたことです。斉彬は、藩の財政を立て直し、軍事力を強化するための富国強兵・殖産興業政策を推し進め、久仰はその政策を補佐する重要な役割を担いました。

1856年には勝手掛にも就任し、財政面でも手腕を発揮しました。しかし、斉彬の急逝後、藩政は大きく変化します。前藩主である島津斉興が復権し、久仰は島津久宝とともに重用されることになります。斉興は斉彬の政策を転換し、財政再建のため、10年間の非常緊縮策を発表。斉彬が創設した集成館や鋳製所などの製造所を縮小・廃止し、水軍を解散するなど、斉彬が進めてきた事業をことごとく中断させました。1859年には軍役総奉行に任命されますが、斉興の死後、久宝と共に罷免され、失脚しました。

1863年、久仰は隠居し、家督は子の久脩が継承しました。彼の家格は寄合の新納二男家でした。また、久仰が残した『新納久仰雑譜』は、当時の高級役人の生活を詳細に記録した貴重な史料として、現代の研究者にも活用されています。この雑譜からは、当時の武士の日常生活、仕事内容、交友関係など、様々な側面を知ることができます。

登場作品

新納久仰は、歴史を題材とした作品にも登場しています。

テレビドラマ
『篤姫』（2008年、NHK大河ドラマ） - 本田清澄が演じました。


新納久仰は、激動の幕末期において、薩摩藩の家老として重要な役割を果たした人物です。彼の生涯は、藩政における権力闘争や政策転換の歴史を映し出すとともに、当時の社会情勢や人々の生活を知る上で貴重な資料を提供しています。

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