島津斉彬

島津斉彬 (しまづ なりあきら)

概要

島津斉彬（旧字体：島津 齊彬）は、江戸時代後期から幕末にかけて活躍した薩摩藩第11代藩主であり、島津氏第28代当主です。彼は富国強兵や殖産興業政策に取り組み、国政改革に寄与したことで名を馳せました。また、西郷隆盛などの幕末の有能な人材を多く育成しました。

生涯

生い立ちとお由羅騒動

文化6年（1809年）、第10代藩主である島津斉興の長男として生まれました。母親の弥姫は、優れた教育者として知られ、斉彬は彼女の手で育てられました。彼は曾祖父の影響を受け、洋学に興味を抱くものの、この興味が薩摩藩内の対立を引き起こす原因となります。斉彬が藩主となることが懸念された結果、彼の父は長らく家督を譲らなかったため、斉彬は度重なるお家騒動に巻き込まれ、「お由羅騒動」として知られる事件が発生しました。この騒動終息後、嘉永4年に斉彬は藩主に就任します。

藩主時代

藩主に就任すると、斉彬は国を豊かにし、力強くする政策に乗り出しました。具体的には、洋式造船や反射炉の建設、さらには水雷やガス灯などの最新技術を取り入れた集成館事業を推進しました。また、土佐藩の漂流者であるジョン万次郎を保護し、藩士たちに造船法を教えました。洋式軍艦「昇平丸」を建造し、幕府に献上することでも貢献しています。彼はまた、黒船来航の際に日本の立場を強化するため、武備開国を唱え、琉球王国を通じたフランスとの交易を画策しました。

政治においては、同時期の有力な藩主たちと連携し、応永の大獄に反対する動きを強めました。しかし、家定将軍の病弱さから、将軍継嗣問題で井伊直弼と対立することになります。その結果、彼は計画した上洛を果たすことなく、病のために急死してしまい、50歳の若さでこの世を去りました。

最期

斉彬は安政5年に発病し、急逝しました。彼の死因は、当時流行していたコレラの可能性が指摘されていますが、異母弟や父親からの陰謀の噂も立ちました。斉彬の遺言により、久光の長男・茂久が藩主となりますが、藩主を狙った相続争いは未然に防がれました。

人物像

斉彬は自らの統治時代において、殖産興業を進めただけでなく、教育や文化の振興にも力を入れました。特に、薩摩の紅ビードロとして知られるガラス工芸品は、他藩にも贈り物として重宝され、彼の業績は高く評価されました。彼はまた、初めて日本で写真撮影を行った人物としても知られています。西郷や大久保など、多くの後の維新志士からも深く慕われており、彼の死は多くの人々に衝撃を与えました。

評価

島津斉彬は、幕末の重要な政治的意義を持つ人物であり、その功績は明治維新の基礎となりました。革命的な考え方で新しい価値観をもたらし、その影響は今日にまで及んでいると評価されています。彼を称える声は今でも多く、歴史に名を遺す存在となりました。

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