新羅使

新羅使（しらぎし）について

新羅使とは、古代の新羅から倭国、すなわち日本に派遣された公式な使節団を指します。この使節の歴史は、6世紀末に新羅が任那を併合したことに始まります。また、新羅と日本の関係は、貿易と文化の交流を媒介する重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景

新羅は562年に任那の官家を占領し、その後、日本との公式な交流が始まりました。『日本書紀』巻第十九および二十によれば、575年には新羅が「幷（あわせ）て多多羅・須奈羅・和陀・発鬼、四つの邑の調を進める」と記されています。これは、新羅が任那を滅亡させた後、旧任那地域の村からの貢納を行う義務を負ったことを示しています。

当時、山大和政権は百済や高句麗と同盟を結んでおり、新羅は自国の調と任那の調を同時に行いました。611年、新羅・任那の使者が訪れた際、皇室では使者を迎え入れるために準備が進められました。

新羅との外交の展開

642年、百済が旧任那の中心地域を新羅から奪ったことで、任那の調は百済が行うこととなりました。その後、645年には高句麗、百済、新羅の三国が調を進めた際、新羅は再度人質を送り込むこととなり、647年には金春秋が日本に送られてきました。この流れの中で、新羅の調は途切れることなく続けられました。

663年の白村江の戦いを契機に、関係は一時中断しましたが、668年に外交が再開されると、両国の交流は再び活発化しました。この時期には、唐との外交交渉が行われず、新羅使は日本の政治、制度、文化の形成に大きな影響を与えました。新羅と日本の間の外交交流は、特に7世紀から9世紀にかけて回数が多く、20回以上を数えました。

また、8世紀には新羅との朝貢を維持しようとする日本の朝廷と、唐と強力な関係を持つ新羅との政治的対立の構図も生まれました。新羅は735年に国号を「王城国」と改称しましたが、日本側により叱責を受け、その結果、新羅使は追い返されました。759年には、新羅征討に向けた計画が浮上しましたが、商業上の利益を重視した新羅側の姿勢により、貿易は成長を遂げました。

日本との貿易と影響

新羅使は、日本との関係において多様な貿易品目を持ち込んでいました。人参、松の実、蜂蜜、食器、絨緞などの自国製品のほか、唐や西域、南海からの香料、顔料、染料、薬品類も取引されていました。これにより、両国の経済的な結びつきは深まりました。

美術と文化の交流

新羅使はまた、文化的な側面でも両国をつなぐ重要な役割を果たしました。さまざまな技術や文化が新羅を通して日本に伝わり、特に仏教や書道、音楽などがその代表例として挙げられます。新羅の僧侶や留学生が日本に渡り、その知識と技芸を広めたことから、当時の日本の文化発展に多大な貢献を果たしました。

最後の関係

新羅との正式な国交は779年まで続きましたが、9世紀になると両国の関係は急速に冷却しました。820年には新羅人700人の叛乱が発生し、824年には新羅系の帰化人を一斉に移住させる方針が採られました。このように新羅使の活動は、古代日本と新羅の交流と影響を物語る重要な歴史の一片です。

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