新致命者

新致命者（しんちめいしゃ）についての概説

新致命者は、ギリシャ語で「Νεομάρτυρες」、ロシア語では「Новомученики」、英語では「New Martyr」と呼ばれる聖人たちを指します。本来この称号は、異教の支配者の下で命を落とした正教会の聖人に与えられていましたが、時代が進むにつれてその範囲が広がりました。特に、イスラームの支配下での信仰のために致命した者、さらに20世紀の共産主義によって迫害された信者たちも新致命者として認識されています。公式には、新致命者の時代は1453年のコンスタンティノープル陥落から始まると言われています。このため、新致命者は信仰のために命を落とした者に限らず、苦難を耐え抜いた表信者も含まれます。

オスマン帝国下の新致命者の現れ

1453年にコンスタンティノープルが陥落して以降、新致命者として正式に列聖される者が次々と登場しました。1453年以前からも、中東やアナトリア地方ではイスラーム支配者のもとで弾圧を受けた聖人たちが多く存在し、またバルカン半島でもオスマン帝国による圧迫の中で死を迎えた者たちが記憶されていました。

20世紀の共産主義政権下での迫害

20世紀に入ると、1917年のロシア革命によって無神論を掲げるソ連が誕生し、ロシア正教会や関連する宗教施設の多くが閉鎖され、財産も没収されました。現在は世界遺産に登録されているソロヴェツキー修道院は強制収容所として利用され、多くの信者たちが弾圧を受けました。教会は様々な形で共産主義政権に抵抗する道を選びましたが、結局抵抗が続いた者はほとんどが殺害されるか亡命を余儀なくされました。

また、この時期、多くの聖職者や信者が、外国のスパイの疑いなどで逮捕され、多くが処刑されました。特にペルミの聖アンドロニクは、生き埋めにされた後、銃殺されるという異例の致命を遂げました。さらに、ロシア皇帝ニコライ2世とその家族も銃殺刑に処せられました。1921年から1923年までの間だけでも、数千人の聖職者が命を奪われたとされています。

列聖された新致命者たち

これらの悲劇的な犠牲者たちは、ソビエト連邦の解体後、新致命者として列聖されることになりました。2000年の時点で、その数は860人近くに達しています。特に、ニコライ2世一家に関しては、20世紀末にロシア正教会によって列聖されましたが、その称号については教会内でも意見が分かれています。ロシア正教会は彼らを「受難を耐える者」として扱い、在外ロシア正教会は「致命者」として認識しています。このように、列聖の経緯や意味合いには異なる視点が存在します。

結論

新致命者は、信仰のために命を捧げた聖人たちを指し、歴史の中で教会や社会が直面した試練を反映しています。彼らの存在は、信仰の強さや信者の勇気を示しており、今後も多くの人々に記憶され、敬愛され続けることでしょう。

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