新貝肇

新貝肇：朝鮮総督府官僚から大分県副知事へ

新貝肇（しんがい はじめ）は、1896年7月25日に大分県宇佐郡天津村（現在の宇佐市）で生まれ、1980年1月9日に没した人物です。彼は、朝鮮総督府の官僚として、また大分県の副知事として、日本の近代史に名を刻みました。

生い立ちと初期の経歴

新貝は、宇佐中学校（現在の大分県立宇佐高等学校）と第四高等学校を経て、1921年に東京帝国大学法学部政治科を卒業しました。高等試験行政科に合格した1920年10月を機に、彼は官僚としての道を歩み始めます。当初は逓信省に入省しましたが、1922年には朝鮮総督府に転じ、その後のキャリアを朝鮮半島で築くことになります。

朝鮮総督府での活動

朝鮮総督府では、逓信局書記を皮切りに、逓信副事務官、事務官、逓信吏員養成所長、逓信局庶務課長、同経理課長、黄海道警察部長、江原道内務部長、警務局警務課長、総督官房人事課長といった要職を歴任しました。1937年には全羅南道知事に就任し、その後咸鏡南道知事を経て、逓信局長・高等海員審判所長に転じました。1942年からは司政局長・中枢院書記官長を務め、1943年に退官するまで、朝鮮総督府の中枢で活躍しました。

戦後の活動

退官後は、朝鮮有熛炭株式会社社長に就任しましたが、終戦を迎えると東京に戻り、家庭裁判所調停委員などを務めました。1956年6月から1963年1月にかけては、木下郁大分県知事のもとで副知事として県政に貢献しました。さらに、1969年にはテレビ大分の初代社長に就任し、大分県の発展に尽力しました。

新貝肇の生涯は、官僚としての責任、地域社会への貢献という二つの側面から見ることができます。彼の足跡は、日本の近代史における官僚の役割、そして地方の発展に尽くした人々の努力を今に伝えています。

参考文献

『輓近大日本拓殖史』日本行政学会、1934年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版　外地・満支・海外篇』帝国秘密探偵社、1943年。
人事興信所編『人事興信録 第12版（上）』人事興信所、1939年。
『大分県歴史人物事典』大分合同新聞社、1996年。
* 秦郁彦編『日本官僚制総合事典1868-2000』第2版、東京大学出版会、2007年。

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