新部裕

新部裕（にいべ ゆたか）氏は、1967年生まれの日本のソフトウェア技術者です。群馬県出身で、GNUプロジェクトの活動を国内外で積極的に推進する特定非営利活動法人フリーソフトウェアイニシアティブ（FSIJ）の理事長を務めています。また、かつては独立行政法人産業技術総合研究所（産総研）情報技術研究部門の自由ソフトウェア部門研究グループ長として活躍しました。

略歴

新部氏は、電気通信大学電子工学専攻修士課程を修了後、株式会社三菱総合研究所に入社しました。リーナス・トーパルズ氏が始めたLinuxの開発に強い関心を抱き、フロッピーディスクを通じてLinuxカーネルの開発に携わるようになりました。その貢献が認められ、2000年12月には、Linux開発のスポンサーリスト（コントリビューターリスト）に「Patron」として記載された唯一の日本人となりました。

2000年、GNUプロジェクトやLinux開発での国際的な活動が広がる中、新部氏は通商産業省電子技術総合研究所（現在の産総研）に、国家公務員の任期付任用第一号として採用されました。産総研では、情報技術研究部門の自由ソフトウェア部門研究グループ長として、研究活動を牽引しました。さらに、情報処理推進機構（IPA）の「未踏ソフトウェア創造事業」のプロジェクトマネージャーや、日本情報処理開発協会（JIPDEC）主催の「U-20プログラミングコンテスト」の審査委員も務めるなど、若手プログラマーの育成にも尽力しました。

2006年から2007年にかけて策定されたGNU General Public Licenseバージョン3（GPLv3）においては、その草稿協議グループA（Committee A）の一員として、ライセンス策定にも深く関わりました。

人物

新部氏の趣味は「井戸掘り」です。講演などでは、ソフトウェア開発を井戸掘りに例え、「足場だった石が逆に障害になることもある」と語り、ソフトウェアの深層まで掘り下げる姿勢を表現しています。

FSIJでの活動など、産総研を離れて個人の資格で活動する際には、「g新部裕」（ぐにゅーべ ゆたか）という名前を使用することがあります。この「g新（New）」は、「GNU」に由来していると本人は説明しています。

新部裕氏は、ソフトウェア技術者としてだけでなく、フリーソフトウェアの普及や若手技術者の育成にも大きく貢献している人物です。その活動は、日本の情報技術の発展に不可欠な役割を果たしています。

外部リンク

Interview: NIIBE Yutaka, Chairman, Free Software Initiative of Japan - Linux.com
フリーソフトウェアイニシアティブ理事長、新部 裕氏へのインタビュー - 上記の翻訳記事。SourceForge.JP Magazine。

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