新馬鹿時代

新馬鹿時代

『新馬鹿時代』（しんばかじだい）は、1947年に公開された日本映画で、エノケン劇団とロッパ一座、さらに東宝による共同制作です。この映画は、監督に山本嘉次郎を迎え、モノクロで166分の長さを誇ります。作品は前後編の二部作として構成されており、前編は同年10月12日に、後編は10月26日に公開されました。

初共演の意義

榎本健一（通称エノケン）と古川ロッパは、戦前からのライバル関係で知られており、一切共演をしていませんでした。しかし、戦後の1947年に彼らはエノケン劇団とロッパ一座の合同公演において初めて共演を果たし、大きな注目を集めました。この大成功を受け、本作の製作が決定されました。

監督の山本嘉次郎は、戦前からエノケンの映画を多く手がけており、本作でもそのスタイルを引き継ぎ、エノケンのアクションシーンは特に見どころの一つです。また、主題歌「ちょいといけます」は、エノケンとロッパが初めてデュエットで歌ったもので、映画の魅力を一層引き立てています。

作品のスタッフとキャスト

本作の製作には、多くのスタッフが関与しました。製作を本木荘二郎が担当し、脚本は小国英雄、撮影は伊藤武夫と浦島進が行いました。美術は松山崇が手がけ、音楽は古関裕而の手によるものです。脚本、撮影、美術、音楽と、多彩な才能が集結した作品です。

主演キャストには榎本健一と古川ロッパのほか、三益愛子、花井蘭子、三船敏郎などが名を連ねており、豪華な顔ぶれが特徴です。特に榎本と古川の演技は、共演することで新たな化学反応を生み出し、観客に強い印象を与えました。

映画の評価

映画評論家の井沢淳は、映画のミュージカル要素に注目し、「新馬鹿時代」が日本映画が不得手とする分野で成功を収めたと評価しています。このように、作品は多くの喝采を受け、時代の波を乗り越える重要な位置を確立しました。

特徴的な制作背景とエピソード

本作では、特にヤミ市の巨大なセットが印象的で、取り壊すのが惜しいほどの出来栄えでした。このセットは、1948年に黒澤明が監督した「酔いどれ天使」にも再利用されています。さらに、榎本健一と古川ロッパの初共演ということで、映画界においても特別な意味を持つ作品です。

まとめ

『新馬鹿時代』は、エノケンとロッパの初共演を記念する重要な作品であり、戦後の日本映画におけるひとつのマイルストーンと言えるでしょう。見る者を楽しませるエンターテインメントとしての面白さに加え、映画作りに関わった人々の熱意があふれる作品です。

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