新高製菓

新高製菓の歴史と影響

新高製菓（にいたかせいか）は、日本が統治していた台湾・台北市に本社を構えていた製菓会社です。この会社は、佐賀県北山村出身の菓子商である森平太郎によって創業されました。新高製菓は、新高ドロップやバナナキャラメルなど、多くの人気菓子で知られています。戦前には森永製菓や明治製菓と共に三大菓子メーカーと呼ばれ、さらには江崎グリコを加えて四大キャラメルメーカーとしての地位を確立していました。しかし、1946年に森平太郎が亡くなった後は、会社は時代の変化に適応しきれず、1971年に廃業となりました。

創業と成長の過程

森平太郎は1895年に台湾に渡り、台北に「一六軒」というお店を開業しました。当初は故郷のまんじゅうを販売していましたが、台湾で生産される砂糖や練乳を利用してキャラメルの製造法を学び、1905年に「新高製菓」を設立します。社名は台湾の最高峰、新高山（現在の玉山）に由来しています。新高製菓は、キャラメルやドロップなど多種多様な和洋菓子を展開し、東京の一流和洋菓子店の職人を招いて技術開発を行いました。また、新聞や雑誌を活用した広告戦略やおまけを使用したキャンペーンで多くの消費者の関心を集め、台湾の製菓業界での地位を確立しました。

大正末から昭和初期にかけては、大阪や東京に工場を開設し、日本本土へ進出。さらに、大連や奉天といった中国大陸にも工場を設立しました。1928年頃には国産のチューインガム製造にも進出し、1931年には風船ガムを発売します。このようにして、新高製菓は日本及びアジアにおいて有数の製菓会社へと成長しました。

戦後の苦境と廃業

しかし、敗戦に伴い、一六軒や本社工場など台湾にあった資産は中華民国に接収されることになりました。この時期に創業者の森平太郎が亡くなったことも影響し、会社は指導者を失いました。残った東京や大阪の工場は再稼働が進まないまま、再開後も小規模なメーカーにとどまり、最終的には1971年に廃業となってしまいました。

広告戦略と文化的影響

新高製菓は、他の製菓メーカー同様、商品におまけを付加する販促方法を取り入れていました。この一環として、東京日日新聞に連載漫画を掲載し、西川鋼蔵（西川コーゾー）による「ウマイモン太郎」や「バクダン小僧」などの漫画小冊子を発行し、顧客の関心を引きました。

文化的なつながり

創業者の森平太郎とその妻は、小説家・北方謙三の曾祖父母にあたります。北方は彼らをモデルにした小説「望郷の道」を執筆しました。また、熊本県の菓子メーカー「お菓子の香梅」の創業者、副島梅太郎は新高製菓の前身である一六軒で修業を積んでいました。

新高製菓の歴史は、台湾を中心に展開し、日本や中国大陸の製菓業界に影響を与えた一つの重要な時期を示しています。

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