方円社

方円社の歴史とその影響

はじめに

方円社（ほうえんしゃ）は、明治・大正時代の日本における囲碁の重要な組織として知られています。1879年、村瀬秀甫や中川亀三郎などによって設立され、1924年に日本棋院が設立されるまで続きました。この時期、方円社は囲碁の普及と近代化に多大な貢献を果たしました。以下では、方円社の設立背景、活動内容、及びその歴史的意義について詳しく解説します。

設立の背景

江戸幕府の時代、囲碁界は家元制度によって発展を遂げていましたが、明治維新によりこの制度は崩壊しました。幕府の保護を失った棋士たちは研鑽の場を失い、囲碁活動は大きな打撃を受けました。特に、重要な対局の場であった御城碁が行われなくなり、棋士たちは新しい組織を作る必要に迫られました。その中で、村瀬秀甫や中川亀三郎は、新たな囲碁組織を設立し、囲碁界の発展を図ることを決意しました。

設立と発展

方円社は1879年に公式に発足し、初代社長には村瀬秀甫が就任しました。彼は囲碁界の第一人者であり、実力主義を掲げて従来の段位制度から級位制を導入するなど、多くの改革を進めました。このように、方円社は囲碁界の近代化を促進し、個々の棋士の能力を重視する体制を築きました。また、方円社の機関誌である「囲棋新報」は世界初の囲碁雑誌とされ、囲碁の普及に寄与しました。この雑誌は、定期的に棋譜や解説を掲載し、碁愛好者の間で囲碁の楽しさを広める役割を果たしました。

組織の内部構造と対立

方円社は多くの著名棋士が参加し、その中でも「方円社四天王」と称された棋士たちが注目を集めました。彼らは卓越した棋力を誇り、また囲碁教育にも尽力しました。しかし、方円社の実力主義は従来の家元制度を重んじる側からの反発を招くこともありました。特に本因坊家との対立が顕著であり、秀栄や秀元らが方円社に脱藩する動きを見せました。

方円社の影響と囲碁普及

方円社は囲碁を広めるために多くの取り組みを行いました。例えば、1885年や1887年に地方に分社を設立し、地方の囲碁普及にも貢献しました。また、欧米への囲碁の普及にも力を注ぎました。ドイツ人技師のオスカー・コルセルトが方円社を訪れた際、村瀬秀甫が彼を弟子にし、また、彼が帰国後に囲碁の普及活動を始めたことがきっかけとなりました。

最後の時代と日本棋院の結成

1924年、関東大震災を契機に方円社、中央棋院、裨聖会が合同し、日本棋院が設立されることとなります。この合同は、囲碁界の再編成を図るもので、方円社はその歴史を終え、新たな局面へと進むことになります。方円社の活動は、囲碁の普及と発展に寄与し、現在の囲碁界の礎を築いたと言えるでしょう。

まとめ

方円社は明治・大正時代における囲碁の組織として、その存在感と影響力を発揮しました。別名である「方円」は、四角の碁盤と丸い碁石を用いる囲碁の古くからの呼び名でもあり、囲碁界の伝統を受け継ぎつつ、新しい時代を切り開いた歴史を有します。方円社の活動によって、囲碁は広まり、多くの愛好者が誕生したことは、今後の囲碁界の発展を語る上で欠かせない要素といえるでしょう。

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