日レスインビテーションカップ

日レスインビテーションカップ

「日レスインビテーションカップ」は、「にちレスインビテーションカップ」と読まれる、かつて存在した日本の女流将棋の公式棋戦です。この棋戦は、公益社団法人日本女子プロ将棋協会（LPSA）と株式会社日本レストランシステムが共同で主催し、トーエル株式会社、キリンビール株式会社、株式会社中沢乳業といった複数の企業が協賛していました。LPSAが公認する数少ない棋戦の一つであり、主にLPSAに所属する女流棋士らが参加する場として位置づけられていました。

棋戦の創設と位置づけ

本棋戦は、LPSAが設立されて間もない2007年に創設されました。当時のLPSAにとって、これは初めて主催する大規模な棋戦であり、その存在意義は大きいものでした。創設時には、優勝者には100万円という高額な優勝賞金が設定され、女流棋戦としては異例の規模として注目を集めました。これは、LPSAが主催する棋戦の中でも最も高い賞金を持つ棋戦の一つであり、参加する女流棋士にとっては大きな目標となるタイトルでした。

対局方式と参加資格

日レスインビテーションカップは、トーナメント形式で優勝者を決定する方式が採用されていました。主な参加資格を持つのは、LPSAに所属する現役の女流棋士、そしてLPSAが公認するツアー女子プロでした。これに加え、毎回数名（通常2〜3名）の女性アマチュア招待選手も出場機会を与えられていました。過去には、第4回および第5回大会において、元女流棋士の林葉直子氏が特別に招待選手として出場したこともありました。

対局の持ち時間は、対局時計を使用して計測されました。初期の段階である1回戦から準決勝までは各対局者持ち時間40分が与えられ、決勝戦のみはより長い各90分が設定されていました。持ち時間をすべて使い切った後は、1手につき60秒未満で指さなければならない秒読みに入ります。

公開対局と中継

この棋戦の特徴の一つとして、公開対局が積極的に実施された点が挙げられます。第3回大会からは、準々決勝と準決勝が同一日にまとめて行われ、観客の前での一斉公開対局という形式が採用されました。これにより、多くの将棋ファンが対局を間近で観戦できるようになり、同時に大盤解説会も開催されて、対局の局面をプロ棋士の解説で楽しむことができました。決勝戦は、東京都世田谷区にある特別な和室空間で落ち着いた雰囲気の中で行われるのが恒例となっていました。

また、現代的な取り組みとして、この棋戦の全ての対局はインターネットを通じて中継されました。これにより、会場に足を運べないファンでもリアルタイムで対局の模様を観戦することが可能となり、棋戦への注目度を高める一助となりました。

棋戦の現状

2007年の創設から毎年開催されていましたが、2013年に行われた第7回大会を最後に、新たな開催のアナウンスがない状況が続いています。このため、残念ながら現在ではこの棋戦は事実上、活動を停止している「休止棋戦」と見なされています。過去には多くの名勝負が生まれ、LPSA所属棋士の活躍の場として重要な役割を果たしましたが、その歴史は第7回をもって一旦途絶えています。

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