対局時計

対局時計：ゲームの時間を司る精密機器

対局時計は、チェス、将棋、囲碁など、2人で行うゲームにおいて、競技者の持ち時間を計測し、ゲームの進行を管理するために用いられる専用の時計です。チェスクロック、ゲームクロックとも呼ばれ、公平なゲーム進行に欠かせない重要な役割を担っています。

アナログ式とデジタル式

対局時計には、大きく分けてアナログ式とデジタル式の2種類があります。

アナログ式対局時計

アナログ式は、文字盤と針を用いて残り時間を表示します。2つの時計が一体となっており、各プレイヤーが自分の時計のボタンを押すと、自分の時計は停止し、相手側の時計が作動するという仕組みです。

ボタンは通常、時計のそれぞれの上部に配置されています。両方のボタンを軽く押すことで、両方の時計を一時停止させることも可能です。これは、持ち時間を調整したり、中断を挟む際に便利です。

アナログ式では、対局開始前に開始時刻と終了時刻を設定する必要があります。持ち時間と終了時刻を決定すれば、開始時刻は自動的に算出されます。例えば、持ち時間90分、終了時刻を17時に設定した場合、開始時刻は15時30分となります。

時間切れを表す独特の機構として、時計の上部には小さな赤い旗（フラッグ）が取り付けられています。長針が12時の5分前に達すると、この旗が徐々に上昇し始め、12時を過ぎると落下します。旗の落下が時間切れの合図となりますが、デジタル式とは異なり、音は鳴りません。

アナログ式は、秒単位での計測ができないため、「1手30秒以内」といった細かい時間制限の設定はできません。動力源は電池式かぜんまい式で、電池切れやぜんまいの巻き忘れには注意が必要です。ぜんまい式は、稼働時に「チッチッチッチッ」という音が継続的に鳴るのが特徴です。

デジタル式対局時計

デジタル式は、デジタル表示で残り時間を表示します。アナログ式と異なり、持ち時間を直接入力できるため、開始時刻や終了時刻の設定は不要です。

時間切れになると、「ビーッ！」という警告音や「時間切れです」といった音声で知らせる機能が多くの機種に備わっています。時間切れ間近の警告音も一般的です。

デジタル式は、ほとんどの機種が無[[音]]で動作します。ただし、時間経過を知らせるアラーム機能（例：5分ごとに「ピッ」）が設定できる機種もあります。また、残り時間が少なくなると、音声による秒読み機能が作動する機種もあり、棋士や声優の声が使用されている場合があります。動力源は電池式が一般的です。

対局時計の配置と使用方法

対局時計は、盤（碁盤、将棋盤、チェスボードなど）の左右どちらかに配置されます。公平性を保つため、両プレイヤーから等距離になる位置に配置するのが一般的です。利き手との関係から、時計の位置はわずかながら有利不利を生む可能性があるため、特に公式戦では注意が必要です。チェスの公式戦では、審判員が配置場所を決定します。

対局開始後、プレイヤーは交互に自分の時計のボタンを押して、時間を計測します。設定された制限時間を超過したプレイヤーが敗者となります。

対局時計の歴史

対局時計の原型は、かつてチェスの対戦で用いられていた砂時計でした。その後、ストップウォッチの併用を経て、現在の対局時計が考案されました。1883年のロンドン国際競技会で初めて使用され、1884年には特許を取得しています。1989年には、日本製のデジタル式対局時計が登場しました。

各種ゲームにおける差異

ゲームの種類によって、対局時計の使用方法や管理方法が異なります。チェスの公式戦では必須アイテムであり、プレイヤー自身でボタン操作を行います。将棋の公式戦では、記録係が時間を管理することが一般的です。囲碁では、対局者自身または記録係が管理することがあります。

その他の注意点

公平性を保つために、「着手に用いる手とボタンを押す手は同じでなければならない」という規定が多くのゲームで見られます。

近年では、スマートフォンやタブレット向けのアプリも開発されており、3人以上のプレイヤーに対応したアプリも存在します。

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