日下部聡

日下部 聡

日下部聡（くさかべ さとし、1960年1月24日生まれ）は、日本の経済産業官僚として幅広い経歴を持つ人物です。彼は国家戦略室の内閣審議官や、経済産業省の大臣官房長などを歴任し、特に第29代資源エネルギー庁長官として活躍しました。

人物背景と教育

日下部は大阪府で生まれました。1982年に横浜国立大学の経済学部を卒業し、通商産業省（現在の経済産業省）に入省しました。彼は大学時代に平田竹男と友人になり、共に国家公務員試験の準備を進めることになります。官僚を志望していた日下部は、この時期から公務に対する強い意欲を示しました。

1989年にはロチェスター大学大学院で経済学の博士課程に留学し、国際的な視野を広げました。学問の場だけではなく、実務を通じても経済の理解を深め、その後のキャリアに活かしています。

官僚としてのキャリア

帰国後、彼は資源エネルギー庁の公益事業部で活動し、公益事業制度改正審議室の室長を務めました。この役職により、エネルギー政策の見直しや法制度の整備に関与し、さまざまな改革案を推進しました。

その後、経済産業政策局の産業組織課長や製造産業局の自動車課長などを経て、内閣官房の国家戦略室に入ることになります。ここでは内閣審議官として、国家戦略の策定や実施に携わりました。これらの経験を通じて、日下部は日本の経済・産業政策に大きな影響を与えることとなります。

2013年には経済産業省大臣官房長に就任し、さらに経済産業研修所長も兼務しました。2015年には資源エネルギー庁長官として、特に原子力発電所の再稼働問題に取り組みます。この任期中、彼のリーダーシップはエネルギー政策におけるさまざまな課題に対する解決策を模索する上で重要な役割を果たしました。

退官後の活動と顧問職

2018年に退官の後、日下部は東京海上日動火災保険の顧問に就任し、その後三菱電機の顧問に選ばれました。2020年4月には同社の常務執行役に就任し、産業政策渉外や知的財産管理など、重要な分野を担当しました。また、2022年4月からはCRO（法務・コンプライアンス、リスクマネジメント、経済安全保障、輸出管理担当）としても活動しています。

著書・編書

日下部聡は、多くの著書や編書も残しており、顧問としての知見を基にした業界分析や政策提言は評価されています。彼の代表的な著作には、2004年に共編した『産業再生と企業結合―課題・政策・ルール』や、『日本版LLC―新しい会社のかたち』などがあります。また、2006年には共著で『よくわかるLLP活用法』を発表しています。

日下部聡は、その画期的な政策提言やエネルギー問題への取り組みを通じて、日本の経済省庁において重要な役割を担った一人であり、今後の活動にも注目が集まります。

もう一度検索