日原渡船

日原渡船（ひわらとせん）

日原渡船は、かつて愛知県愛西市と岐阜県海津市の間に流れる木曽川および長良川を渡るために利用されていた渡し舟です。正式には、木曽川側は「愛知県営日原渡船場」、長良川側は「岐阜県営日原渡船場」と呼ばれ、愛知県営側には「塩田の渡し」という別名もありました。この渡し舟は、惜しまれつつも2011年（平成23年）3月31日をもってその歴史に幕を閉じました。

概況

この渡しは、愛知県愛西市塩田町と岐阜県海津市海津町日原の間を結んでいました。流路が異なる木曽川と長良川の双方に渡船場があり、それぞれ別の船が運航されていました。これは、二つの川が締切堤によって隔てられていたためです。

運航は、木曽川側は愛知県愛西市塩田町の住民、長良川側は岐阜県海津市海津町日原の住民が、それぞれ交代で委託を受けて行っていました。使用される船は、1970年代頃からは船外機が搭載されたものが用いられるようになり、利便性が向上していました。

日原渡船は、愛知県道120号津島海津線および岐阜県道117号津島海津線の一部という位置づけでした。そのため、その運営費用は関係する愛知県と岐阜県が負担しており、利用者は無料で渡河することができました。

長良川側の渡船については、下流に位置する森下渡船と船舶を共用する体制が取られていました。このため、利用には原則として渡船を利用する2日前までに海津市役所への予約が必要でした。

廃止へ

日原渡船が廃止された主な理由は、利用者の減少と船頭の確保が困難になったことにあります。特に岐阜県側の渡船は、年間の利用者がわずか数十人程度まで落ち込んでいました。こうした状況を受け、2011年3月31日をもって岐阜県側の渡船が廃止されることが決定しました。これに伴い、連携して運航されていた愛知県側の渡船も同日をもって廃止されることとなり、長年にわたり地域の交通を支えてきた日原渡船の歴史は終結しました。

周辺の交通

日原渡船が位置していた周辺には、現在も様々な橋や、かつて運行されていた他の渡し舟が存在しました。

木曽川

（下流） 立田大橋
葛木渡船（日原渡船と同時期に廃止）
日原渡船
東海大橋
馬飼頭首工
中野の渡し （上流）

長良川

（下流） 揖斐長良川橋（東名阪自動車道）
揖斐長良川水管橋
長良川大橋
森下渡船（日原渡船と同時期に廃止）
日原渡船
東海大橋
* 南濃大橋 （上流）

これらの橋や渡船は、かつての日原渡船と同様に、地域間の人々の往来や物流を支える重要な役割を果たしていました。日原渡船の廃止は、モータリゼーションの進展とともに渡し舟がその役目を終えていく時代の流れを示す出来事の一つと言えるでしょう。

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