日墨修好通商条約

日墨修好通商条約

日墨修好通商条約は、1888年11月30日に日本とメキシコの間で締結された重要な条約です。この条約は、日本にとって初めての治外法権が適用されず、関税自主権が認められた平等条約でした。そしてメキシコにとってはアジアの国との最初の条約締結となりました。この条約は、ワシントンにいた日本全権の陸奥宗光と、駐米メキシコ公使のマティアス・ロメロとの間で調印されました。

条約成立の背景

当時、日本は西洋列強との不平等[[条約]]に悩まされていました。安政五カ国[[条約]]のように、アメリカやオランダ、ロシア、イギリス、フランスとの間で締結された条約は、日本にとって不利な条件が多く、治外法権の問題も抱えていました。一方で、李氏朝鮮との間で結ばれた日朝修好条規は逆不平等[[条約]]の形を取り、日本の利益を最大限に反映させるものでした。日本政府は、アジア以外の国と平等条約を結ぶことによって、これを前例として欧米諸国と再交渉する道を模索していました。

その中で、メキシコは鎖国時代以前からフィリピン総督を通じた外交的な繋がりがあり、当時メキシコも東アジアとの貿易拡大を望んでいました。このため、双方の思惑が一致したのです。特に、1874年に金星の太陽面通過を観測するために来日したメキシコ観測団のフランシスコ・ディアス・コバルビアスが、日本の待遇に感銘を受け、メキシコに対して日本との外交関係を結ぶメリットを強く訴えたことが、条約締結のきっかけとなりました。

条約の影響

日墨修好通商条約締結後、1891年には日墨両国の公使を交換し、さらにメキシコ人に対する日本国内へのアクセスが正式に認められました。また、1897年には日本人移民がメキシコに渡ることとなります。この条約の発効に伴い、日本政府は平等条約の締結を祝う形で1898年にはメキシコに対して在外公館の用地を提供しました。今でこそ、メキシコの駐日大使館が永田町にあるのはこの歴史的な背景によるものです。

なお、日墨修好通商条約は1924年10月に廃棄され、この条約の影響は日本とメキシコの外交・経済関係において長い間語り継がれることとなりました。今後の日本とメキシコの関係においても、この条約が果たした役割は無視できません。国際関係において平等条約の意義は、ただ過去の出来事として語るのではなく、現代にも生かすべき教訓として捉えることができるのです。

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