安政五カ国条約

安政五カ国条約の概要およびその影響

安政五カ国条約（あんせいのごかこくじょうやく）は、1858年に江戸幕府がアメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスの五か国と締結した不平等条約を指します。この条約は、日本の外交および経済政策に重大な影響をもたらしました。

条約の締結経緯

条約の締結は、アメリカの総領事タウンゼント・ハリスとの交渉から始まりました。ハリスは幕府全権である岩瀬忠震と井上清直との間で15回にわたる交渉を行い、自国の自由貿易を確保するための内容に合意しました。1865年、幕府は老中の堀田正睦が天皇の勅許を得るために京へ向かったものの、孝明天皇の許可を得ることができず、最終的に無勅許のまま日米修好通商条約が締結されました。

その後、幕府は他の四カ国とも同様の内容で条約を結びましたが、これらもまた勅許を得ていない不正なものでした。そのため、当時の朝廷ではこれを無効とみなし、幕府の独断専行を厳しく非難しました。この不満はやがて安政の大獄や、井伊直弼の暗殺といった政治的な混乱を引き起こすことになります。

不平等条約としての特性

安政五カ国条約は、日本に対して不平等な内容が多く含まれていました。主な問題点としては、領事裁判権の存在、関税自主権が欠如していること、片務的な最恵国待遇が挙げられます。これにより、外国人は日本で自国の法律に基づいて裁かれることとなり、日本の法律が適用されなくなりました。これまで日本の法律が適用されていた時代とは異なり、これが幕府にとっては都合良いものであるようにも見えましたが、国際的な視点から見ると明らかに不平等でした。

さらに、当初設定された関税率は高く、20％程度とされていました。これに対し、多くの外国は関税の引下げを求めて交渉を始め、1866年には改税約書が締結され、関税が引き下げられることになりました。

経済への影響

これらの通商条約によって、日本は自由貿易を始め、国内の経済は西洋諸国と密接に結び付くこととなりました。実際、これにより日本の国内総生産はおおよそ7％の増加が見込まれていますが、その一方で、日本の産業は大打撃を受けることにもなり、特に手工業が損なわれました。

明治時代に入ると、安政五カ国条約の改正が急務となり、その内容が批判されるようになります。最終的には、日清戦争や日露戦争を経て、関税自主権の回復や領事裁判権の撤廃が達成されましたが、それには長い年月がかかりました。

結論

安政五カ国条約は、日本の近代史において重要な地位を占めるものであり、条約の締結は幕末から明治にかけての日本の外交と経済の在り方を大きく変える要因となりました。この不平等条約がもたらした混乱は、後の歴史的な動きにおいても深い影響を与え続けました。

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