日振型海防艦

日振型海防艦概要

日振型海防艦（ひぶりがたかいぼうかん）は、大日本帝国海軍が第二次世界大戦で使用した艦船の一つであり、主に南方航路の船団護衛に用いられました。公式には御蔵型に分類されているものの、基本計画番号はE20bに基づく鵜来型海防艦に関連した準同型艦として位置付けられています。この艦型は、1944年から1945年にかけて、日立造船桜島造船所で建造された9隻が就役しました。

建造の背景

日本海軍は、戦局が厳しさを増す中で、対潜・対空性能及び量産性を重視した艦艇の必要性を意識していました。但し、御蔵型海防艦は急造艦としては複雑な設計であったため、量産性に乏しいという問題がありました。そのため、設計を簡略化し、より効率的に建造するための鵜来型に変更が行われました。

当初は掃海具を装備する海防艦が求められる中、選定された艦艇は一部が単艦式大型掃海具を持たせるように設計変更されました。この艦の建造は、艦政本部の指揮の下で日立造船が担当しました。

建造スケジュールと特徴

日振型は、もともと1942年2月14日に基本設計が完了した海防艦乙型の計画に基づいています。1943年には、未起工艦8隻が改訂された基本計画番号E20bにより建造の決定を受け、日立造船が割り当てられた3隻が本型として建造されることになりました。
特筆すべきは、日振型が両舷に九四式爆雷投射機を2基搭載していることや、掃海具の装備がなされたことです。

ミッドウェー海戦後、34隻の鵜来型建造計画も存在しましたが、このうち19隻は日振型として建造される予定でした。しかし、戦局の悪化により、多くの艦艇が工事中止や取り止めの決定を余儀なくされました。

同型艦と運命

日振型には以下の艦が存在し、それぞれ独自の艦名と運命を持っています。

• - 日振（ひぶり）：第331号艦。愛媛県の日振島に因み、1944年に竣工し護衛中に沈没。
• - 大東（だいとう）：第333号艦。沖縄の大東諸島に由来し、1944年に竣工後、掃海中に触雷で沈没。
• - 昭南（しょうなん）：第339号艦。シンガポールの昭南島に由来し、1945年に沈没。
• - 久米（くめ）：第5252号艦。沖縄県の久米島となるが、やはり戦闘中に沈没。
• - 生名（いくな）：第5254号艦。すすんで掃海任務に従事し、その後輸送艦に転用。
• - 四阪（しさか）：第5257号艦。賠償艦として中華民国に引き渡され、のちに再就役。
• - 崎戸（さきと）：第5259号艦。終戦後すぐに解体。
• - 目斗（もくと）：第5262号艦。触雷で沈没。
• - 波太（はぶと）：特別輸送艦として使用された後、賠償艦としてイギリスに引き渡し。

また、大津（おおつ）や友知（ともしり）といった艦は未成艦として工事が中止されました。

結論

日振型海防艦は、日本海軍の戦略的な海上防衛において重要な役割を果たし、その設計においても様々な変更が加えられる中、日立造船の技術力が反映された艦艇でした。その多くは戦争によって消え去る運命にありましたが、日振型が果たした役割と歴史的価値は、現在でも高く評価されています。

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