御蔵型海防艦

御蔵型海防艦

御蔵型海防艦（みくらがたかいぼうかん）は、日本海軍が第二次世界大戦中に使用した海防艦の一系列であり、特に南方航路における船団護衛の任務を担いました。この艦級は、当初は乙型海防艦として分類されましたが、その後の建造決定により甲型に変更されています。1943年から1944年にかけて、合計8隻が就役しました。

設計と特徴

御蔵型海防艦は、択捉型海防艦を改良したものであり、より汎用的な能力を持つ護衛艦として設計されました。択捉型の特徴であった暖房用補助缶は廃止され、より効率的な設計がされています。

武装面では、船団護衛に特化した改良が施され、一段と強化されました。主砲は平射砲から高角砲に変更され、爆雷の搭載数は36個から120個に増加しました。爆雷投射機も2基に増やされ、対潜戦における能力が向上しましたが、その結果として航続距離は16ノットで5,000海里に制限されました。この強化された武装は、対空・対潜の脅威に対する防御力を高めることが評価されています。

建造期間は平均で約9ヶ月と、さらなる量産性の向上が必要とされていました。この艦級の建造は艦政本部の指揮のもと、主に日本鋼管鶴見造船所で行われました。建造チームには、後に日本鋼管の副社長となる遠山光一海軍技術中佐や、海上自衛隊の海将へと昇進する魚住順治海軍少佐が関与していました。

建造背景

1942年2月14日、御蔵型はマル急計画の一環として、新たに決定された基本計画番号E20に従って建造されることになりました。これにより、未起工の艦が設計変更され、仮称艦名から最終的に第320号艦（御蔵型）へと名称が変わりました。1943年7月5日には、海防艦改乙型として8隻が海軍によって建造されることが決定しました。

同型艦一覧

• - 御蔵（みくら）: 東京都の御蔵島に因む艦名。1943年10月31日に竣工後、1945年に沈没。
• - 三宅（みやけ）: 東京都の三宅島に因む艦名。1943年11月30日竣工し、戦後は特別輸送艦として利用された後、解体。
• - 淡路（あわじ）: 兵庫県の淡路島に因む。1944年1月25日に竣工し、その後沈没。
• - 能美（のうみ）: 広島県の能美島に因む。1944年2月28日に竣工し、戦後沈没。
• - 倉橋（くらはし）: 同じく広島県の倉橋島にちなんだ艦名。1944年竣工後、1957年に解体。
• - 屋代（やしろ）: 山口県の屋代島に因む艦名。1944年竣工後、1947年に賠償艦として中華民国へ移管。
• - 千振（ちぶり）: 香川県の千振島に因む艦名。1944年に竣工し、後に沈没。
• - 草垣（くさがき）: 鹿児島県の草垣群島に因む艦名。1944年に竣工し、その後アメリカ潜水艦によって沈没。

御蔵型海防艦は、その設計や役割において日本海軍の防衛戦略に寄与し、戦局が厳しくなる中でその存在意義を果たしました。

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