日暮里大火 (1925年)

1925年日暮里大火：復興への道のり

1925年3月18日、東京府北豊島郡日暮里町（現在：東京都荒川区東日暮里）を未曾有の火災が襲いました。この「日暮里大火」は、単なる災害に留まらず、その後の都市計画、住民の生活、そして国際関係にまで影響を与えることとなりました。

火災発生の経緯

1925年3月18日午後3時6分、日暮里町大字金杉（現在：東日暮里3丁目付近）にあったアサヒ半毛工場から出火。工場で作業していた従業員の証言によると、ガーネット混毛機に釘のようなものが混入し、機械油に引火したことが原因とされています。初期消火は試みられたものの、強風にあおられ、火は瞬く間に工場内に広がり、大量の材料に燃え移りました。

強風と密集地がもたらした惨状

当日、現場付近は風速13メートルの強風が吹いており、火災の拡大を助長しました。さらに、出火現場周辺は民家や工場が密集し、水利も悪かったため、消火活動は困難を極めました。火は近隣の工場や住宅に燃え広がり、隣町の三河島町、そして小学校にまで延焼。下谷区にまで迫る勢いでしたが、懸命な消火活動により、午後8時55分に鎮火しました。

被害の全貌

この火災により、約46,050坪、2,000戸が焼失。第三日暮里小学校、第五日暮里小学校といった公共施設も焼失しました。被害総額は約500万円と見積もられ、罹災者は1万人に達しました。幸い死者は出なかったものの、多数の負傷者が出ました。

避難民は上野公園に殺到し、上野駅は混乱を極めました。また、火災現場では火事場泥棒が出没するなど、混乱に乗じた犯罪も発生しました。

救護活動

日暮里尋常高等小学校をはじめとする複数の小学校や公共施設が避難所として開放され、罹災者への食料や医療が提供されました。警視庁や東京府も救護班を派遣し、救護活動を支援しました。

時事新報社や東京日日新聞社による炊き出し、各方面からの救援物資の提供など、官民一体となった救護活動が展開されました。青年団や警官からは、関東大震災の経験が生かされた迅速な避難行動を評価する声も聞かれました。

恩賜金と義援金

皇室からの恩賜金、そして国内外からの義援金が被災地に届けられました。三井家や朝日新聞社をはじめとする企業や団体からの寄付、ソビエト連邦からの支援など、多くの人々が被災地の復興を支援しました。

区画整理による復興

火災発生直後から、日暮里町会では区画整理の実施が決定されました。関東大震災後の復興事業と連携し、「日暮里土地区画整理組合」が設立され、道路の拡幅や区画の再編が行われました。1926年10月31日には土地区画整理事業が竣工し、焼失区域は「旭町」と改称され、新たなスタートを切りました。

1年後の火災と教訓

日暮里大火から1年後の1926年3月19日、日暮里を含む地域で再び火災が発生しました。この火災は、防火対策の重要性を改めて認識させ、その後の防災対策に大きな影響を与えました。

まとめ

1925年の日暮里大火は、日暮里の街に大きな爪痕を残しましたが、同時に、人々の助け合いの精神、都市計画の重要性、そして国際的な連携の必要性を浮き彫りにしました。この災害を教訓に、日暮里はより強靭な街へと生まれ変わったのです。

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