日本とオマーンの関係

日本とオマーンの関係

日本とオマーンは、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で良好な関係を築いている。オマーンは親日的な国として知られ、その背景には、日本のアニメや家電製品への関心、そして王室と日本との縁がある。

歴史

日本とオマーンの最初の接触は、19世紀末に地理学者・志賀重昂がオマーンを訪問したことに遡る。彼は当時の国王タイムール・ビン・ファイサルに謁見。その後、タイムールは退位後に来日し、日本人女性と結婚、ブサイナ王女をもうけた。この王室の縁が、オマーン国民の親日感情を育む一因となった。

また、安土桃山時代から江戸時代初期に活躍したキリスト教司祭ペトロ岐部も、ローマやエルサレムへ向かう途中にマスカットに立ち寄った可能性がある。

両国間の本格的な交流は、1971年のオマーン独立と同時に日本が国家承認したこと、そして1972年の外交関係樹立から始まった。1980年代には両国の大使館が設置され、交流はさらに深まった。

要人往来

両国間では、要人による相互訪問が活発に行われている。

オマーンからは、1990年に国家遺産・文化相が、2019年にはアスアド・ビン・ターリク・アール・サイードが日本の即位の礼に参列。アスアドは、大山清子の墓参も行っている。2022年には、安倍晋三の国葬に際して、宮内省顧問らが来日した。

日本からは、2014年と2020年に安倍晋三首相がオマーンを訪問。カーブース国王や新国王ハイサムとの間で首脳会談が行われ、二国間関係の強化や地域情勢について意見交換がなされた。

支援

2011年の東日本大震災の際には、オマーンから日本に多大な支援が寄せられた。国王をはじめとする要人からのお見舞いのメッセージ、LNGの追加供給、そして1000万米ドルの義援金に加え、オマーン王族系の企業から福島県に浄水器が発注されるなど、迅速な支援が行われた。

一方、日本もオマーンに対し、開発援助や技術協力を行ってきた。2010年までに累計150億円以上の開発援助を実施しており、研修員の受け入れや専門家の派遣も積極的に行っている。

貿易

日本とオマーンの間では、貿易も盛んに行われている。2020年のデータによると、日本の輸入額は1378億円、輸出額は1566億円。オマーンからは主に石油や天然ガスが輸入され、日本からは自動車や機械などが輸出されている。

特筆すべきは、インゲンマメの輸入である。日本では、生鮮のささげ・いんげん等の輸入の97.3%がオマーンからのものであり、その量は年間1269トンに及ぶ。特に12月から3月にかけての輸入量が多い。

また、2023年の日本の対オマーン輸出額は1713億円で、そのうち自動車が61.5％を占める。

防衛協力

2019年には、両国間で防衛協力に関する覚書が締結され、自衛隊がオマーン湾に派遣された。また、オマーン海軍と海上自衛隊の間では、親善訓練も継続的に行われている。

文化

文化交流も活発で、マスカットでは「オマーン・日本友好協会」が日本語教育などの活動を展開。日本では「日本オマーン協会」が異文化交流を推進している。

また、2001年にはマスカットにオマーン平安日本庭園が開園。2022年には東京外国語大学とスルターン・カーブース大学の間で学術交流協定が結ばれるなど、学術分野での交流も進んでいる。書道家による指導や、自衛隊音楽隊の演奏会も開催され、日本の文化がオマーンで紹介されている。

外交使節

オマーンは東京に大使館を、日本はマスカットに大使館を設置している。駐日オマーン大使はモハメッド・サイード・ハリファ・アル・ブサイディ、駐オマーン日本大使は山本条太が務めている。

まとめ

日本とオマーンの関係は、歴史的なつながりを基盤に、経済、文化、防衛など幅広い分野で発展を続けている。今後も両国間の友好関係がさらに深まることが期待される。

もう一度検索