日本とパラオの関係

日本とパラオの関係



日本とパラオの二国間関係は、歴史的に深い繋がりを持ちます。1820年、日本の漁船がパラオに漂着したことが、両国の交流の始まりとされています。その後、20世紀には日本の委任統治を経て、1994年に正式な国交が樹立されました。現在、両国は政治、経済、文化など様々な分野で協力関係を築いています。

歴史



1820年、陸奥国（現在の岩手県）の漁船「神社丸」が遭難し、パラオに漂着しました。乗組員たちは3年半ほどパラオに滞在し、その後帰国してパラオに関する記録を残しました。この出来事が、日本とパラオの最初の接触となりました。

20世紀に入ると、第一次世界大戦後のパリ講和会議で、日本はパラオを含む南洋諸島の委任統治を認められました。1922年には、パラオのコロールに南洋庁が置かれ、パラオは日本の委任統治領として発展しました。日本統治下では、漁業、農業、鉱業が発展し、パラオは一定の自給率を達成しました。しかし、第二次世界大戦中には、パラオは日本軍の基地となり、激戦地となりました。

1945年、日本の敗戦により、パラオはアメリカ合衆国の信託統治領となりました。その後、1994年10月1日にパラオはアメリカから独立し、同年11月2日に日本との国交が樹立されました。日本は1999年にコロールに大使館を開設し、両国間の関係はさらに強化されました。

文化



かつての日本統治の影響から、パラオの文化には日本の要素が色濃く残っています。パラオ語には「大丈夫（daijobu）」、「お客（okyaku）」、「電気（denki）」、「選挙（senkyo）」など、日本語からの借用語が多数存在します。また、パラオ料理にも日本料理の影響が見られます。

アンガウル州では、パラオ語と英語に加え、日本語も公用語として定められています。これは、パラオと日本の歴史的な繋がりを示す証拠と言えるでしょう。

経済



パラオの経済は、主に観光と漁業に依存しています。パラオに拠点を置くマグロ漁業の企業は、日本に刺身用のマグロを輸出しており、日本漁船へのライセンス付与はパラオの重要な外貨収入源となっています。

かつてパラオは日本の捕鯨を支持していましたが、2010年以降は国際捕鯨委員会が提唱する捕鯨捕獲枠案を支持するようになりました。この政策転換は、日本とパラオの関係に影響を与えるものではないとされています。

経済協力



日本はパラオに対し、経済協力を行っています。2016年までに、約233億円の無償資金協力と約70億円の技術協力が行われました。パラオ国際空港のターミナル、日本・パラオ友好の橋、パラオ国際サンゴ礁センターなどのインフラ整備に協力し、電力供給に関する支援も継続的に行っています。

また、青年海外協力隊員やボランティアの派遣を通じて、パラオの人材育成にも貢献しています。

安全保障



日本は、パラオ海底に眠る第二次世界大戦中の爆弾処理のため、専門家を派遣しました。2012年から爆弾処理を開始し、海洋汚染を防ぐための対策も講じられています。

海上保安庁は、2023年にパラオ海上保安当局職員に対する能力向上支援を実施しました。これにより、パラオの海上保安能力の向上が期待されます。

観光



観光業はパラオの主要産業の一つです。日本や台湾からの観光客が多く、特に日本人観光客は、パラオの観光産業を支える重要な存在となっています。

外交使節



日本はパラオに大使館を設置しており、パラオも東京に大使館を置いています。両国は、外交使節を通じて友好的な関係を維持しています。


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