日本とマダガスカルの関係

日本とマダガスカルの関係は、遠く離れた島国同士でありながら、歴史的な出来事や経済的な結びつきを通じて、独自の発展を遂げてきました。この関係は、単なる国家間の外交を超え、両国民の相互理解を深める重要な要素となっています。

両国の比較

マダガスカルは、16世紀頃にメリナ王国が成立し、19世紀前半にはほぼ全土を統一しました。しかし、19世紀後半にはフランスの植民地となり、第二次世界大戦後までその支配下に置かれました。一方、日本は明治維新を経て近代国家としての地位を確立し、20世紀には二度の世界大戦を経験しました。

歴史

マダガスカル前史

16世紀ごろ、マダガスカル中央高地にメリナ王国が誕生しました。17世紀から18世紀にかけては分裂と統合を繰り返し、一時的に弱体化しましたが、19世紀前半にはラダマ1世の時代にほぼマダガスカルを統一しました。

メリナ王国の成立と西洋との接触

ラダマ1世の時代には、モーリシャスを介してイギリスと接触し、キリスト教宣教師の来訪やローマ字の伝来など、西洋の文化や技術が導入されました。これにより、マダガスカルは近代化への道を歩み始めました。

フランスの侵攻と植民地化

1883年、フランスは権益保護を名目としてマダガスカルに侵攻し、マダガスカルは敗戦。北部港町アンツィラナナを割譲しました。その後もフランスは侵攻を続け、1896年には王室をレユニオン島に追放し、メリナ王国を解体して植民地化しました。

世界大戦と日本との接触

第一次世界大戦では、マダガスカルはフランスの植民地であったため、マダガスカル出身者がフランス軍兵士として参加しました。この時期には、遠く離れた日本における明治維新や日露戦争などの情報がマダガスカルにも伝わり、民族主義運動が高まりました。また、日露戦争当時、アンツィラナナには赤崎伝三郎という日本人が居住しており、彼はロシア帝国バルチック艦隊の情報を日本に伝え、日本の勝利に貢献しました。

続く第二次世界大戦では、宗主国フランスがナチス・ドイツに占領されたことで、マダガスカルの植民地政府の威信が低下しました。1941年には大日本帝国軍がインド洋の制海権を奪取。イギリスを中心とする連合国は、日本がマダガスカルを占領してアフリカへ勢力を広げることを危惧し、1942年にマダガスカル全土へ攻勢をかけました。この戦いでは、日本海軍の特殊潜航艇がアンツィラナナでイギリス軍と戦闘を開始。伊20潜水艦の乗員である秋枝三郎大尉と竹本正巳一等兵曹が戦死しました。その後、イギリスがマダガスカルを占領し、日本軍は撤退しました。

戦後関係

第二次世界大戦後、マダガスカルは1958年にフランス共同体の自治国家として独立し、1960年には完全な独立を果たしました。日本は1960年7月にマダガスカルを国家承認し、1968年には首都アンタナナリボに在マダガスカル日本国大使館を設置しました。マダガスカル側も1969年に東京に在日マダガスカル大使館を開設しました。

1976年には、在マダガスカル日本大使館がマダガスカルの戦いで戦死した秋枝三郎中佐と竹本正己特務少尉の慰霊碑を建立。1997年には、アンツィラナナに日本軍人4名の慰霊碑が建立されています。

マダガスカル・クーデターとその後

2009年3月、マダガスカルでクーデターが発生し、アンドリー・ラジョエリナが大統領に就任しました。日本政府はこれを不法な政権交代とみなし、二国間経済協力を停止しました。2014年1月には民主的な選挙を経てヘリー・ラジャオナリマンピアニナが新大統領に就任すると、日本は経済援助を再開しました。その後、両国間で首脳会談が実施され、「自由で開かれたインド太平洋戦略」についての協力が話し合われています。

要人往来

日本とマダガスカルの間では、要人往来が活発に行われています。初代マダガスカル大統領のフィリベール・ツィラナナが国賓として日本を訪問したほか、複数の大統領が訪日しています。日本の皇室からは、秋篠宮文仁親王が二度マダガスカルを訪問しています。また、2024年には日本の外務大臣として初めて上川陽子がマダガスカルを訪問しました。

経済援助と貿易

日本はマダガスカルにとって主要な援助国であり、累積援助額は1000億円を超えています。貿易関係では、マダガスカルが日本に対し大幅な黒字を達成しており、ニッケル、コバルト、バニラなどを輸出しています。一方、日本からは自動車やゴム製品などを輸出しています。

文化

文化的な交流も行われており、マダガスカルの学校では日本語教育が行われています。また、ポップカルチャーや伝統文化も人気を博しています。日本では、マダガスカルの文化的多様性についての研究が行われています。

外交使節

両国はそれぞれ大使館を設置し、外交関係を維持しています。

駐マダガスカル日本大使
駐日マダガスカル大使

まとめ

日本とマダガスカルの関係は、歴史的な出来事や経済的な結びつきを通じて、独自の発展を遂げてきました。今後も両国間の協力関係が深まり、相互理解がさらに進むことが期待されます。

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